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60歳過ぎのルーキー,海の世界で勉強中

9月1日に塩竈市に海事代理士事務所を開設して以来,ワタシは日々,海事代理士業務についての勉強が続いています。

基本的には,お世話になっている先生から,仕事のお手伝いを通じてさまざまな業務について手ほどきを受けています。もちろん,学校ではありませんから,一から十まで教えてもらえるわけではありません。先生が実際に行った申請書類を見せていただき,どのような書類を作成し,何を添付すればよいのかを,実地で学んでいきます。

先生が作成された書類は,いわば正解のお手本です。実際の仕事を通じて学べるのですから,これ以上の教材はありません。

海事代理士の仕事は,海事関係法令に基づき,船舶や海運,船員などに関する行政手続を,船主や海運事業者などに代わって行うことです。「海の司法書士・行政書士」よく言われる仕事です。

法律に基づいて申請の要件を確認し,必要な書類を集め,申請書を作成して行政機関に提出する。この基本的な流れは,行政書士の仕事とよく似ています。実際,行政書士と海事代理士の両方の資格を持つ方も少なくありません。

ワタシも行政書士としての経験がありますから,申請業務の基本的な要領は分かっています。しかし,専門分野が違えば,必要な知識も違います。船舶や海運に関する手続には,これまで触れる機会のなかった知識が必要で,早く仕事に慣れようと勉強する毎日です。

新しい仕事を覚えるとき,ワタシがまず身につけようとしているのは,「何をすればよいのか」という全体の流れです。どのような書類を集め,どんな申請書を作成すればよいのか。まずはそこを先生のお手本から理解し,そのうえで,個々の書類の取得方法や記載内容を学んでいきます。最初からすべてを理解しようとせず,一つずつ身につけていくことが大切だと思っています。

ただ,今のワタシには,もう一つ大きな問題があります。

それは,海事代理士試験のために勉強した法律を,かなり忘れてしまっていることです。行政書士の仕事では,民法や会社法の一部を使うことはあっても,試験科目だった憲法や行政法なども実務で使う機会はほとんどありません。ところが,海事代理士の仕事は違います。

船舶法,船舶安全法,船員法,船舶職員及び小型船舶操縦者法など,試験勉強で学んだ法律が実務に直結しています。先生やほかの海事代理士の方との会話でも,条文や制度の話がごく自然に出てきます。ところが,ワタシは試験に合格して以来,これらの法律とはすっかりご無沙汰でした。

そこで今は,条文首っ引きで仕事をするほか,当時使っていた海事代理士試験の教材を引っ張り出し,改めて勉強し直しています。試験に合格するための勉強と,実務で使うための勉強は違います。覚えた知識を,目の前の案件を適切に処理するために使える知識へと変えていかなければなりません。

「60歳を過ぎて,なんで今さらこんな勉強をしているの?」

そんなふうに思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし,ワタシ自身は苦には感じていません。気持ちだけは,まだまだルーキーです。年齢を考えれば,オールドルーキーということになりますが(笑)。

何より,この歳になって新しい仕事に挑戦できることが嬉しくて仕方がありません。これまでの経験を生かしながら,知らなかった世界を知り,新しい知識を身につけていく。そんな毎日を楽しんでいます。

もちろん,楽しんでいるだけでは仕事になりません。お客さまから依頼を受ける以上,正確な手続を行い,安心して任せていただけるようにならなければいけません。そのためにも,一つひとつの案件を大切にしながら,経験を積んでいこうと思っています。

行政書士として陸の行政手続を学び,海事代理士として海の行政手続を学ぶ。

陸でも海でも,法律を理解し,必要な書類を整え,お客さまのために手続を進めるという基本は変わりません。

どうやらワタシは,行政書士として陸に上がったつもりが,今度は海に漕ぎ出すことになったようです。

陸のことは行政書士として,海のことは海事代理士として。どちらも安心して任せていただけるよう,オールドルーキーの勉強はまだまだ続きます。

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