夏祭りで相談会,そしてワタシが教わったこと
市内の住宅団地で夏祭りが開催されました。
ワタシは今回,その会場の一角をお借りして,相続や終活などに関する無料相談会を行いました。
この団地とは,とあるご縁で知り合いになりました。それ以来,「行政書士として何かお手伝いできることがあれば」という思いから,折に触れて無料相談会を開催しています。とはいえ,今回は夏祭りです。会場には出店が並び,子どもたちの元気な声が聞こえ,ステージではさまざまな催しが行われています。そんな華やかな雰囲気の中で,「相続や終活の相談に来る人なんているのだろうか」と,ワタシは少々心配していました。祭りも終わりに近づき,「今日はこのまま相談者なしで終わるかな」と思っていたところ,お一人の女性が相談に来られました。今後の生活について不安を抱えている,お子さまのいないご夫婦,いわゆる「おふたりさま」の奥様でした。
ご相談は,お子さまのいないご夫婦ならではのお困りごとです。お話をじっくり伺い,今後考えておいたほうがよいことや必要な手続きなどについて,できる限り分かりやすくお答えしました。
ところが今回,相談対応で大活躍したのは,ワタシではありません。
ワタシが立ち上げたボランティアグループのメンバーである女性です。
この女性の「聴く力」が,実に見事なのです。
相談者のお話は,必ずしも最初から整理されているわけではありません。特にご高齢の方の場合,話をしているうちに別の話題が出てきたり,昔の出来事を思い出したりして,話があちらこちらに飛んでいくこともあります。
しかし,彼女は相談者の話を遮ることなく,じっくりと聴きながら,その中から本当に重要なポイントを拾い上げます。
そして,「つまり,こういうことでお困りなのですね」と相談内容を上手に整理してから,必要な回答につなげていきます。まさに「傾聴のプロ」です。
今回も,彼女は相談者の質問を見事に整理して適切に回答し,相談者の女性も納得された様子で帰っていかれました。
相談会というのは,相談者のお役に立つだけではありません。相談員にとっても,実際の相談を通じて多くのことを学ぶ機会になります。行政書士は,法律や制度についての知識が重要です。しかし,知識があるだけでは,良い相談員にはなれません。
相談者が何に困っているのか。
何を不安に感じているのか。
そして,本当は何を知りたいと思っているのか。
それをきちんと聴き取る力も必要です。
ワタシも行政書士として相談をお受けする機会が増えてきましたが,この女性の傾聴力には,いつも感心させられます。
今回も,「行政書士として皆さんのお役に立とう」と思って出かけたのですが,気がつけばワタシのほうが勉強させてもらっていました。
さて,肝心の夏祭りです。これがまた,とても和やかで楽しいお祭りでした。
この団地は比較的ご高齢の方が多く暮らしているのですが,自治会長さんのご配慮で近隣の住宅にも声をかけていたそうです。そのため,若いご夫婦や子どもたちの姿もたくさん見られました。高齢化が進む住宅団地というと,「高齢者ばかりになってしまった」というイメージを持ちがちです。しかし,今回のお祭りを見ていると,そうではありません。地域に住む人たちが世代を超えて集まり,一緒に楽しむ。そんな場所があれば,団地は単に「高齢者が多い住宅地」ではなく,さまざまな世代が暮らす地域になっていくのだと思います。
これからの高齢化社会を考えるうえでも,ひとつのモデルケースのように感じました。
そして,夏祭りが終わった後,自治会長さんとお話をした際,こんなご提案をいただきました。
「個別の相談だと,どうしても気後れする人もいます。終活セミナーのような形で,皆さんにお話ししてもらうことはできませんか?」
なるほど。これは良いアイデアです。
相続や遺言,成年後見などについて,「ちょっと聞いてみたい」と思っている方は少なくありません。しかし,「相談会に行って,自分の家族のことを相談する」というのは,少しハードルが高いものです。
それならば,セミナーという形で一般的な制度や考え方についてお話しし,希望する方にはその後に個別相談をしていただく。そのほうが気軽に参加できるかもしれません。
「子どもがいない夫婦が考えておきたいこと」や「相続で困らないために今からできること」など,テーマを何回かに分けてお話しするのも面白そうです。
一緒に相談会を行っているパートナーとも相談しながら,ぜひ実現させたいと思います。
今回は,少し風変わりな「行政書士の夏祭り参加」でした。
夏祭りに行って,相続相談をして,地域の皆さんと交流して,最後には自治会長さんから次の企画までいただきました。
そして何より,ワタシ自身が「人の話を聴く」ということについて,改めて勉強させてもらいました。
行政書士という仕事は,書類を作る仕事だと思われがちです。もちろん,書類を正確に作ることは大切です。でも,その書類の向こう側には,必ず「人」がいます。
その人が何を考え,何を心配し,何を望んでいるのか。そこまでしっかり聴かなければ,本当の意味でのお手伝いはできません。
というわけで,今回のワタシの夏祭り。
「行政書士として相談に乗りに行ったはずなのに,最後はワタシが『傾聴』を教わって帰ってきました。」
これもまた,地域に出て仕事をする面白さなのだと思います。

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