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現地へ行って初めて分かること

昨日は,相続手続のご依頼をいただいているお客さまの案件で,県北の自治体まで出張してきました。

今回の目的は,現地調査です。

相続手続では,戸籍や登記簿,固定資産税関係の資料など,多くの書類を取り寄せて調査を進めます。近年は,多くの資料がオンラインで取得できるようになり,事務所にいながら進められる仕事も増えました。

しかし,それでも最後は「現地へ行かなければ分からないこと」があります。

今回も,まさにそのような案件でした。

相続手続では,被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集し,法定相続人を確定します。その後,不動産や預貯金,証券口座などの財産を調査し,相続財産を漏れなく把握した上で,相続手続を進めていきます。

不動産については,登記簿だけでなく,自治体が管理する「名寄帳」も取得し,両者を照合するのが一般的です。名寄帳には,固定資産税の課税対象となっている土地や建物が一覧になっており,登記簿だけでは気付きにくい共有名義の不動産などを確認することができます。

ところが,今回の案件では思いがけない事態が起きました。

登記簿には存在する建物が,名寄帳には記載されていないものが3棟。一方で,名寄帳には記載されているものの,登記簿には存在しない建物も3棟あったのです。

しかも,それぞれ床面積や構造などが非常によく似ています。さらに,登記簿を詳しく確認すると,そのうちの一部には取り壊しの登記もされていました。

「もしかすると,同じ建物を別々に管理しているのではないか。」

そんな仮説を立て,自治体の税務担当課へ確認したところ,「おそらくそのとおりでしょう。このようなことは,当市ではそれほど珍しい話ではありません。田舎ではよくあることです」とのことでした。

そこで,実際の状況を確認するため,現地へ向かうことにしました。

見知らぬ土地をカーナビ頼りに進み,相続人の方のご了解をいただいて敷地内を確認すると,残っていた建物は1棟だけでした。

やはり,登記簿の内容と現況は一致していました。

その後,地元の役所で担当者と打合せを行い,今後の手続方針を確認しました。今回の相続手続を進めることで,登記簿と名寄帳の不一致も整理される見込みとなり,ひと安心です。

相続の仕事では,長い年月の中で積み重ねられてきた歴史と向き合う場面が少なくありません。数十年前,あるいはそれ以前の出来事が,現在の手続に影響を及ぼしていることも珍しくないのです。

その一つひとつを丁寧に調べ,事実を確認し,少しずつ整理していく。その過程に,この仕事ならではの面白さがあるとワタシは感じています。

この日は,調査を終えたあと,先日見つけたお気に入りのラーメン店で昼食をいただき,その後,依頼人のもとを訪問して,調査結果と今後の手続についてご説明しました。

相続手続は,よく「こんがらがったたこ糸を一本ずつほぐすような仕事」と言われます。

今回も,現地へ足を運んだからこそ,その糸が一本ほぐれました。

行政書士の仕事は,机の上で書類を作るだけではありません。必要であれば現地へ赴き,自分の目で確かめ,事実を積み重ねながら最善の解決策を探していく仕事でもあります。

だからワタシは,これからも「現場で得た一つの事実」を何よりも大切にしながら,依頼人の皆さまの相続手続をお手伝いしていきたいと思います。

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