無料相談会のその先にあるもの
ワタシは月に1度ほどのペースで,行政書士として法律無料相談会の相談員を務めています。
相談会には,仙台市や行政書士会支部が主催するもののほか,志を同じくする行政書士仲間と立ち上げたボランティア団体によるものもあります。
相談に来られる方の多くはご高齢の方で,相続や遺言,成年後見など終活に関する相談が中心です。しかし,同じような相談に見えても,その背景や事情は人それぞれであり,一つとして同じものはありません。そのためワタシも,背筋を伸ばし,毎回真剣勝負でお話に向き合っています。
無料相談会の話をすると,「相談会って実際にどのくらい仕事につながるのですか」と聞かれることがあります。多くの方は,無料相談会を営業活動の一環だと思っているようです。しかし実際には,相談会からそのまま仕事の依頼に発展することはあまりありません。
そもそも,仙台市主催の相談会や市民センターなどの公共施設を利用した相談会では,営業活動や勧誘行為はできません。また,相談に来られる方の多くは「とりあえず聞いてみよう」「無料だから一度聞いてみよう」という軽い気持ちで来られる方が多いのです。
ですから,その場では「遺言書を作った方がいいかな」「相続対策を始めようかな」と思われても,自宅に戻ると日常の忙しさの中で気持ちが落ち着き,熱が冷め,そのままになってしまうことも少なくありません。
人間というのは不思議なもので,その場では大事だと思っていても,家に帰るとテレビを見たり,庭の草取りをしたり,孫が遊びに来たりしているうちに,いつの間にか優先順位が下がってしまうのです。
ワタシの事務所でも毎週火曜日を「無料相談の日」としており,時々ご相談に応じていますが,実際に,次のステップへ進まれる方はそれほど多くありません。
一方で、状況がかなり切迫している方や、「この機会にきちんと向き合いたい」と決意されている方は、やはり熱量が違います。こうした方は、「どうすれば前に進めるか」を一緒に真剣に考え、費用も必要なものとして受け止めてくださることが多く、具体的な手続きのご依頼につながるケースもあります。
相談をお受けしていると,この熱量の違いを強く感じます。
それでもワタシが相談員を続けるのは,ものすごく勉強になるからです。英語で「We learn by teaching.」という言葉があります。相談者の疑問を聞き取り,複雑な制度を分かりやすくかみ砕いて説明することは,自身の相談能力のスキルアップにものすごく効果があるのです。
また,自分の知識や経験が誰かの不安を少しでも和らげるのであれば,それはとても嬉しいことです。60歳までサラリーマンとして働いてきたワタシは,これからの人生では,生活のためだけでなく,社会の役に立っている実感を持ちながら働きたいと考えています。会社員時代は,お客さまから直接人生相談を受けるような仕事ではありませんでした。しかし行政書士になってからは,相続や終活を通して,人それぞれの人生に触れる機会が増えました。
相続や遺言は,「いつか考えよう」と思っているうちに時間が過ぎてしまいがちなものです。しかし,問題が起きてからでは選択肢が少なくなってしまうこともあります。
無料相談会は、そんな一歩を踏み出すきっかけの場です。そして行政書士の役割は、その一歩を具体的な形にするお手伝いをすることだと思っています。
相談だけで終わっても構いません。「まだ早いかな」と思う段階でも、少しでも気になったときこそが、動き出すちょうどよいタイミングです。無料相談会が、皆さんの最初の一歩になれば、相談員としてこれほど嬉しいことはありません。
当事務所でも、毎週火曜日に「無料相談の日」を設けております。「とりあえず聞いてみたい」という段階でも大歓迎ですので、どうぞ構えずに、気になったタイミングでお気軽にお電話でご予約ください。

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