神様からのプレゼントは20年の時を刻む相棒
ワタシは運の良い人間だと思っています。
61歳になる今日まで,大きな病気や事故に遭うこともなく元気に暮らしてこられました。人生が常に順風満帆だったわけではありませんが,振り返ってみれば楽しく充実した日々だったと思います。幸いなことに,最近よく耳にする「熟年離婚」とも無縁で,今でも妻と日々,楽しく暮らしています。
そして,ワタシが特に感謝しているのは,人との出会いです。
これまで多くの方に助けていただき,支えていただきました。そのおかげで今のワタシがあります。運というものは,人とのご縁が運んできてくれるものなのかもしれません。
そんなワタシですが,人生の中で二度ほど,単なる幸運を超えた「神様からのプレゼント」と思える出来事がありました。
一つは,以前このブログでも書かせていただいた令和4年度行政書士試験のことです。記述式問題が偶然にも的中し,あの幸運がなければ合格はなかったかもしれません。
そしてもう一つのプレゼントが,今から20年以上前,結婚して間もない頃の出来事です。
当時のワタシには,どうしても欲しい時計がありました。
オメガのスピードマスターです。
雑誌やカタログを眺めてはため息をつき,「いつかは欲しいなあ」と思っていました。
妻とは,「管理職になったら記念に買おう」という約束をしていました。しかし,当時のワタシはまだ若く,管理職になるまでにはかなり時間がかかりそうでした。
そんなある日,会社の近くの時計店のショーウインドーに,ひときわ美しいスピードマスターが飾られました。文字盤の外周が赤く彩られたミハエル・シューマッハ限定モデルです。世界限定6,000本のモデルで,裏蓋にはシリアルナンバーが刻まれています。
初めて見た瞬間に一目惚れしました。
「欲しい」
そう思いました。
しかし,価格は20万円を超えています。当時のワタシにとっては決して安い買い物ではありませんでしたし,何より妻との約束もあります。
毎日のように帰宅途中に時計店の前を通り,ショーウインドー越しにその時計を眺めてはため息をついていました。
「あの時計は欲しい。でも今は買うべき時ではない」
「きっとオレが買える頃には,もう誰かの腕に収まっているだろうな」
そんなことを考えていました。
ところが,人生には時として思いがけないことが起こります。
何気なく買っていた宝くじ「ナンバーズ4」が的中し,100万円を超える当選金を手にしたのです。
土曜日の朝,新聞で当選番号を確認した時は,自分の目を疑いました。
そして当選金を受け取ると,ワタシはその足でその時計店へ向かいました。
「ショーウインドーのスピードマスターをください」
店主にそう伝えた時の喜びは,今でも鮮明に覚えています。
サイズ調整をしていただき,初めて腕にはめた時の高揚感。そしてその時にお店で出していただいた紅茶は,間違いなく「人生で一番おいしい紅茶」でした。
残ったお金は,せっかく神様からいただいたプレゼントですから,全部使うことにしました。
双方の両親に,「貯金なんかしないで,何か楽しいことに使ってください」と言って20万円ずつ渡しました。
兄姉や甥,姪にも少しずつお裾分けをしました。
そして残りのお金で,夫婦で沖縄旅行に出かけました。
気が付けば100万円はきれいになくなっていました。
今思えば,とても良いお金の使い方をしたと思っています。欲しかった時計を手に入れ,大切な人たちと喜びを分かち合い,夫婦で楽しい思い出も作ることができました。そして,あれから20年以上が過ぎました。
スピードマスターは今もワタシの左腕で時を刻み続けています。
機械式時計ですから,定期的なオーバーホールも必要です。決して手のかからない存在ではありません。それでも,長い時間を共に過ごしてきたこの時計は,今では単なる時計ではなく,人生を共に歩んできた相棒です。
行政書士の仕事をしていると,相続や遺言のご相談を通じて,さまざまな財産に接する機会があります。
しかし,本当に価値のあるものは値段ではなく,そこに込められた思い出や想いなのだと感じます。
ワタシにとってこのスピードマスターは,単なる20万円の時計ではありません。
神様からいただいたプレゼントであり,家族との思い出であり,20年以上の時間そのものです。
これからも元気に働き続けられる限り,この相棒にはワタシの左腕で静かに時を刻み続けてもらいたいと思っています。

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