農地転用の現地調査に立ち会ってきました
昨日は,ワタシが申請代理人として5月に申請した農地転用許可申請の現地調査が行われ,立ち会ってきました。
農地転用許可申請とは,田や畑などの農地を住宅,駐車場,資材置場,太陽光発電設備など,農地以外の用途に利用するために必要となる手続きです。農地は食料生産の基盤として保護されているため,農地法により厳しい規制が設けられています。農地を農地以外の用途に転用する場合や,転用を伴って所有権等を移転する場合には,原則として許可が必要となります。
農地転用に関する手続きは,行政書士であるワタシの主要業務の一つです。農地法第4条や第5条に基づく許可申請は,市町村の農業委員会を経由して行われ,最終的には都道府県知事等が許可・不許可を判断します。その審査の過程で行われるのが,農業委員による現地調査です。
ところが,同じ農地法に基づく手続きであっても,自治体によって運用には微妙な違いがあります。申請書の様式が少し異なったり,添付書類の内容に違いがあったりします。さらに,申請後の審査方法についても,農業委員会による現地調査への立会いを求める自治体もあれば,役所でのヒアリングのみで済む自治体もありますし,農業委員のみで現地確認を行う自治体もあります。
今回申請した自治体では,申請者の立会いが必須となっていました。そのため,申請代理人であるワタシは,農業委員の方々と日程調整を行い,現地調査に臨むこととなりました。
今回の申請地は全部で6か所です。これを1日で回るためには,事前準備が欠かせません。訪問順序や移動時間を考慮しながらルートを組み立て,関係者との時間調整を行いました。最近は,当該地の緯度・経度を入力するだけで効率的な移動経路を作成してくれるアプリもあり,しかも無料で利用できるものが少なくありません。便利な時代になったものだと感心しました。
もちろん,準備は移動計画だけではありません。地権者の状況や転用計画の内容を把握し,事前に現地を下見して周辺環境や土地の特徴も確認しておきます。農業委員の方からの質問に対して,資料を見ながら回答することもできますが,やはりその場で即答できるに越したことはありません。そうした積み重ねが信頼につながると考えています。
現地調査では,農業委員の方々から様々な質問を受けます。皆さんが心配されるのは,農地転用によって周辺農地に悪影響が生じないかという点です。
例えば,「雨水はどのように処理するのか」「造成後に土砂が流出するおそれはないか」「雑草管理はどのように行うのか」「周辺農地への影響はないか」といった質問がよく出されます。いずれも地域の農地を守るためには当然の視点であり,申請者代理人であるワタシには,丁寧かつ分かりやすい説明が求められます。
この日も多くの質問をいただきましたが,一つひとつ説明し,ご理解をいただくことができました。
ただし,一つだけ答えられない質問がありました。
農業委員の方から,地権者様のご親族のお名前を挙げながら,
「あそこの娘さんはもう嫁に行ったのかや?」
と聞かれたのです。
さすがにそんなことは知りませんので
「申し訳ありません。ワタシ,申請代理人ですのでそこまでは調べておりません」
とお答えするしかありませんでした。
地方の農地行政は,人と人とのつながりの中で成り立っていることを改めて感じた一幕でした。
今月の現地調査も無事終了し,大きな問題を指摘されることはありませんでした。もっとも,許可が下りるまでは何があるか分かりません。最後まで気を抜かず,しっかり対応していきたいと思います。
農地転用業務は,法律の知識だけで務まる仕事ではありません。自治体ごとの運用の違いを理解し,現場を確認し,関係者との調整を行いながら,円滑に手続きを進めていくことが求められます。同じ法律に基づく申請であっても,地域ごとの「お作法」を押さえることも行政書士の腕の見せ所です。ワタシはこれからも現場に足を運び,一件一件丁寧に対応していきたいと思います。でも,少なくとも「あそこの娘さんが嫁に行ったかどうか」について回答することが,今後の農地転用申請業務の範囲に加わる予定はなさそうです。

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