バスがなくなる日,行政書士のワタシが考えたこと
先日,地元のバス会社からショッキングな発表がありました。
現在運行しているバス路線4路線,92便を廃止するというものです。さらに,仙台―福島線など高速バスの4路線についても廃止が発表されました。
廃止の理由として挙げられているのは,運転手の人手不足です。もちろん,利用者の減少や収益性の問題もあるのでしょう。バス会社も民間企業ですから,利用者が少なく,採算の取れない路線をいつまでも維持することが難しいことは,ワタシにも理解できます。
今回の廃止によって,ワタシ自身の生活が直接困るわけではありません。それでも,福島へ行くときには高速バスをよく利用していました。新幹線よりも料金が手ごろで,時間もそれなりに早く,何より気楽です。
「えっ,あの路線も廃止になるの?」
正直,そんな驚きがありました。仙台―福島線については,宮城交通の撤退後も他社による運行が予定されています。ただ,便数の削減などが行われれば,これまでのような利便性が失われる可能性はあります。今回のバス路線廃止に限らず,最近は「人手不足」を理由に,事業の縮小やサービスの廃止が目立つようになりました。
人口が減れば,働く人も減ります。利用する人も減ります。これまで拡大を続けてきた日本経済が,人口減少をきっかけに少しずつ小さくなっていく。そんな時代に入ったのかもしれません。ワタシは,そこに一抹の寂しさを感じます。
一方で,「本当に人が足りないのだろうか」とも思います。
例えばバスの運転手です。大型車両を運転するための免許を持ち,さらにお客さまを乗せて走るための第二種免許まで取得している。誰でもすぐにできる仕事ではありません。それだけ責任も大きな仕事です。それならば,それに見合った待遇を用意すれば,人が集まる余地はあるのではないでしょうか。
人手不足という言葉の裏側には,「働く人がいない」という問題だけではなく,「働く条件と求める人材とのミスマッチ」という問題もあるようにワタシには思えます。
一方では人手不足と言いながら,他方では低賃金の仕事が数多く残っている。
これでは,若い人が将来に夢を持つことも難しくなります。若い人がきちんとした給料をもらい,家族を持ち,家を買い,旅行をして,好きなものを買う。外国から来て働く人にも,適正な賃金を支払い,日本で働くことによって将来の母国での生活を豊かにできる。
そんな「働けば生活が良くなる」という当たり前の経済に戻していくことが必要なのではないでしょうか。人件費を単なる「コスト」と考えるのではなく,「消費を生み出す力」と考える。働く人の所得が増えれば,その人は食事をし,買い物をし,旅行をし,家族のためにお金を使います。誰かの給料は,別の誰かの売上になるわけです。
そう考えると,人件費を削ることばかりを考える経済には,どこか限界があるように思います。
そして,もう一つ忘れてはいけないのが,バスのような公共交通機関の役割です。
特に高齢化が進む地方の地域社会において,バスは単なる「移動手段」ではありません。路線バスは自動車を運転できなくなった高齢者にとって,病院へ行くための足であり,買い物へ行くための足であり,役所や金融機関へ行くための足でもあります。
つまり,バスは地域社会を支える重要なライフラインであり,社会インフラなのです。
利用者が少ないからといって,単純に採算性だけで存廃を判断してよいものなのか。ワタシは,そこに疑問を感じます。もちろん,すべての路線を従来と同じ形で維持することが現実的でないことも分かります。だからこそ,国や地方自治体には,路線バスを民間企業だけの問題として捉えるのではなく,地域の生活基盤として考えてほしいと思います。
運転手の待遇改善に必要な支援,自治体による運行への補助,小型車両の導入,デマンド交通など新しい交通手段の導入など,地域の実情に応じたさまざまな方法があるはずです。
人口が減少し,高齢化が進むことは,ずっと前から分かっていたことです。
「利用者が減ったから廃止します」「運転手が足りないから廃止します」というところまで来てから対策を考えるのではなく,その先にある地域の暮らしまで見据えて,政府にはもっと早く,もっと大胆な打ち手を考えてほしいと思います。
これはバスだけの問題ではありません。医療,介護,物流,買い物など,これまで当たり前に存在していたサービスが,人口減少と人手不足によって少しずつ維持できなくなっています。人口が減る時代だからこそ,「何を残し,何を守るのか」を真剣に考えなければなりません。
ワタシは行政書士として,地域の方々のさまざまな相談に接しています。
相続や農地転用,許認可など,一つひとつの相談の向こう側にあるのは,地域で暮らす人の生活であり,仕事であり,人生です。
行政書士という仕事を通じて地域に関わる一人として,ワタシもまた,地域の暮らしを支えるものは何なのかを考えていきたいと思います。
バスが走っている。病院へ行ける。買い物へ行ける。人に会いに行ける。
そんな当たり前の風景が,地方では当たり前ではなくなりつつあります。
人口減少社会だから仕方がない,で終わらせてしまってはいけない。
ワタシは,そんなことを今回のニュースを見ながら強く感じました。

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