税込み299円のカツ重に思うこと
今日のお昼に,ワタシはスーパーで買った税込み299円のカツ重を食べました。
出先の近くにあったスーパーで,「何か美味しいものはないかな」と店内を見て回っていたところ,ふと目に入ったのがそのカツ重でした。まず驚いたのは,やはり299円という価格です。
見た目はごく普通のお弁当サイズですが,中には大きめのロースカツが3切れしっかり載っています。実際に食べてみると,肉は柔らかく,味付けも十分に美味しい。気がつけば,あっという間に平らげてしまいました。
もちろん「大盛り」というほどではありませんが,普段わりと量を食べるワタシでも十分満足できるボリューム感です。正直,「これで299円なのか」と感心してしまいました。
最近は,米をはじめ食品全般が値上がりしています。さらに中東情勢の不安定化によるエネルギー価格の上昇もあり,物流費や原材料費も高騰しています。何を買っても「また値上げか」と感じる時代です。
そんな中で,この価格で商品を提供している企業努力には,素直に賞賛を送りたいと思いました。
ただその一方で,「どうしてこの価格で販売できるのだろう」という疑問も頭をよぎります。
おそらく,豚肉の生産者,流通業者,加工業者,そして店舗に至るまで,商品に関わる多くの方々が,さまざまな工夫と努力を積み重ねているのでしょう。企業努力という言葉で片づけるには簡単すぎるほど,現場では相当な苦労があるのではないかと思います。
ワタシは東北電力に勤務していた頃,20年以上にわたり,発電所で使用する石油や石炭,LNG(液化天然ガス)などの燃料調達に関わってきました。
その部門に配属された際,当時の部長から最初に教えられたことを,今でもよく覚えています。
「ものには適正な価格がある」
「安ければいいというものではない」
「サプライヤーとユーザーは,共存共栄の関係にある」
「自分たちの利益だけを追い求めて,“金の卵を産むニワトリ”を殺すようなことは絶対にしてはいけない」
そういう考え方でした。
これは単なる“きれいごと”ではなく,長く安定して社会を支えるためには,非常に大切な考え方だと思います。
どこか一方だけが無理を続ければ,いずれその仕組みは壊れてしまいます。適正な利益が確保され,関わる人たちが普通に生活できることが,結果として良い商品やサービスを持続的に生み出すことにつながるのだと思います。
ですから,あの素晴らしいカツ重を提供してくださったスーパーや関係者の皆さんが,無理を重ねることで成り立っているのではなく,きちんと利益を確保しながら商売として成立しているのであればいいな,と感じました。
とはいえ,あのカツ重がとても美味しかったことは間違いありません。また近くを通ったら,きっと買ってしまうと思います。
そして,これは行政書士の仕事にも通じる話なのかもしれません。
最近は,インターネットで検索すれば,役所の手続きに関する情報はいくらでも出てきます。「AIに聞けば十分」「書類くらい自分で作れる」という時代にもなりました。
もちろん,それ自体は悪いことではありません。便利になることは素晴らしいことですし,ワタシ自身もAIを活用しています。
しかし,実際の仕事というのは,単に書類を作るだけではありません。
依頼者の話を聞き,悩みや不安を整理し,関係者との調整を行い,役所とのやり取りを重ねながら,最後まで責任を持って形にしていく。そういう「目に見えにくい部分」に,多くの時間と労力がかかっています。
だからこそ,行政書士の仕事にも,「適正な価格」があるのだと思います。
安さだけを追い求めれば,どこかで無理が生じます。結果として,丁寧な説明ができなくなったり,依頼者に向き合う時間が失われたりするかもしれません。
もちろん,ワタシ自身も,299円のカツ重を見れば「安い!これは嬉しい!」と普通に飛びつく一人の消費者です。ですから,決して安売りそのものを否定したいわけではありません。
ただ,今日食べたあの美味しいカツ重の背景に,多くの人の努力があるように,行政書士の仕事もまた,見えないところで多くの時間と責任によって支えられているのだろうと思います。
そんなことを考えながら,今日もワタシは,美味しく299円のカツ重を完食したのでした。

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