ラッキーピエロに見る「手を広げすぎない」戦略
昨日は久しぶりの休日だったので,家のレコーダーに録りためていた番組をいくつか見て過ごしました。ワタシはNHKの ドキュメント72時間 が好きで,よく見ています。
この番組は,ある場所を72時間にわたって定点観測し,そこに集う人々の人生模様を映し出すドキュメンタリーです。舞台になるのは,レストランだったり,書店だったり,フェリーの中だったりと実にさまざまですが,大げさな演出をせず,淡々と人々の日常を追いかけるところに独特の味わいがあります。難しいことを考えずに見られるのに,不思議と心に残る。ワタシはそんなところが好きなのです。
今回みた番組の舞台は,函館の人気ハンバーガーチェーン ラッキーピエロ ,通称「ラッピ」でした。
ラッキーピエロは1987年創業。現在も店舗は函館市とその近郊に限られており,全国展開はもちろん,札幌にも進出していません。「函館に行ったら必ず寄る店」として,観光客にも地元の方にも愛されているお店です。
ワタシが初めてこの店を訪れたのは2017年。函館へ出張した際,同僚に「函館に来たならラッピに行かなきゃダメですよ」と半ば強引に連れて行かれたのが最初でした。正直に言えば,最初は「地方の有名ハンバーガー屋さんくらいのものだろう」と思っていました。しかし,実際に食べてみて驚きました。
とにかく,出される料理が全てきちんと手がかかっているのです。勧められて食べた看板メニューのチャイニーズチキンバーガーはもちろん,他のメニューも実に丁寧に作られていました。ファストフードでありながら,どこか「手料理」の温かさを感じる味だったのです。ワタシは,その料理の質にすっかりはまってしまい,結局,その出張中,同僚が呆れるほど何度も通ってしまいました。
後から調べてみると,ラッキーピエロは「手作り」に強いこだわりを持っていることで有名でした。冷凍食品は使わず,店内調理にこだわり,注文を受けてから作る。さらには,使用する水や食材にも細かな配慮をしているそうです。
要するに,「美味しいものを出す」という飲食店として当たり前のことを,当たり前以上の熱量で徹底しているのです。
そして,ワタシが何より感心したのは,「無理に広げない」という姿勢でした。
もしこの店が利益だけを追求するなら,とっくに全国展開していても不思議ではありません。しかし,あえて函館周辺に店舗を絞り,「自分たちの品質を維持できる範囲」で勝負している。その結果として,「函館と言えばラッピ」と言われるほどの強いブランドを作り上げているのだと思います。
これは,ワタシ自身の仕事にも通じるものがあるように感じました。
ワタシは現在,「雑食系行政書士」を自認し,仕事をしています。お客さまからご相談いただいた仕事については,できる限りお引き受けしたいと考えているからです。行政書士という仕事は,まずはお客さまの困りごとを受け止め,解決の糸口を探すことが大切だと思っているからです。
だからと言って,自分の力量を超えた仕事まで無理に抱え込むつもりはありません。無理に仕事をお引き受けして,質の低い仕事をするのでは,結局はお客さまにご迷惑をおかけすることになるからです。
地に足をつけ,自分が責任を持って対応できる範囲を見極めること。そして,書類の向こう側にいる「人」の姿をしっかり見ること。ワタシは,それを大切にしたいと思っています。
行政書士の仕事は,単に書類を作るだけではありません。その書類の先には,「店を始めたい人」,「家族を守りたい人」,「新しい人生を始めたい人」と多くの夢や希望を持たれる方がいます。
ラッキーピエロが,「函館で,美味しいものを出す」という原点を大切にしているように,ワタシもまた,「目の前のお客さまに,きちんとした仕事をし,喜んでいただく」という原点を忘れずにいたいと思います。
派手に店舗を増やさなくても,函館で圧倒的な存在感を放つラッキーピエロのように,ワタシもまた,「この人に頼めば安心だ」と思っていただける行政書士を目指したいと思います。

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