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手垢にまみれた青春の思い出

現在,ワタシは家にある不要品の処分を少しずつ進めています。

基本的には,1年間まったく手をつけなかったものを中心に処分しています。本などもかなり整理しているのですが,「これはもう要らない」と割り切れるものばかりではありません。思い出の詰まった本も多く,なかなか作業は進みません。

一部の本は裁断してスキャナで読み込み,電子書籍化してから処分することもあります。それでも,本はなかなか減りません。その中でも,特に処分に困っているのが,大学受験のとき,そして大学生のときに使っていた辞書です。

今では辞書も電子化され,実務で紙の辞書を使うことなど,ほとんどありません。「要るか,要らないか」だけで考えれば,完全に「要らないもの」です。

ところが,手垢で少し汚れた辞書を手に取ると,受験生時代のことが次々と思い出されます。

特に浪人生の頃です。

当時のつらかった受験勉強や,机に向かって辞書を引いていた時間まで,妙に鮮明によみがえってきます。

大学に入ってから購入した英和辞典もあります。

「もう受験生じゃねぇぜ」と少しばかり意気込んで,それまで使っていたものよりワンランク上の辞書を購入しました。奮発して革表紙のものにしたので,手に取ると今でも革の匂いがします。

当時は,それがなんとも誇らしかったのです。

部屋を整理するたびに,「これはどうしようか」と悩みます。

しかし,結局いつも,

「まあ,大して場所を取るわけじゃないし」

ということで,本棚の指定席に戻されます。

考えてみれば,これらの辞書は,もう実用品ではありません。家の中のインテリアというより,ワタシの人生の一部になっているのかもしれません。

そこでふと思いました。

今の高校生や大学受験生は,紙の辞書を使っているのでしょうか。

ワタシが大学受験生だった40年以上前は,ちょうど電子辞書のようなものが登場し始めた頃でした。まだ今ほど内容は充実しておらず,単語を調べても代表的な意味がいくつか表示される程度です。

それでも,文字を3文字ほど入力すると目的の単語が出てきて,すぐに意味が分かる。これは便利でした。

ワタシもこっそり安い電子辞書を購入して使っていたのですが,親に見つかり,ものすごく怒られました。

「辞書を引くのが遅いのは,辞書をきちんと使い込んでいないからだ」

そんな趣旨のことを言われ,没収されたのを覚えています。

「イヤ,そんなことは分かっているんだけど,ちょっとだけ意味を知りたいときに使っているんだよなぁ」

と思い,切なくなったのを覚えています。

では,今の高校生や浪人生はどうしているのでしょう。

調べてみると,やはり電子辞書を使う人のほうが多いようですが,紙の辞書派も健在で意外と健闘しているようです。

まあ,道具は何でもいいのだと思います。

紙の辞書でも電子辞書でもスマホでも,自分の頭に入りやすい方法を選んで,難関を突破すれば良いのです。

ただ,ワタシにとっては,手元にある古い辞書は,40年以上前の受験勉強や浪人生活が鮮やかによみがえる特別な存在なのです。

そう考えると,この辞書はまだ「不要品」ではないのだと思います。

使うことはなくても,捨てることもできない。

どうやらワタシにとっては,人生の一時期を丸ごと詰め込んだ,大切な宝物になっているようです。

だから今回も,本棚の指定席はそのままです。

断捨離するのは,いつの日になることでしょう?

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