オレは、自由になったはずなのに
サラリーマンを辞めて,行政書士として一人で仕事を始めたとき,多くの元同僚や先輩から,「これからは自由だな」「自分のペースで仕事ができるなんて羨ましい」と声を掛けられました。
もちろん,ワタシ自身もそう思っていました。
イヤな上司も嫌いな上司もいません。稟議書を持っていって,「そんなこと,どうでもいいじゃないか」と心の中で思いながら,ぐっと言葉を飲み込んで修正し,ようやくハンコをもらうこともありません。飲み会の幹事を任され,酔っぱらった上司から「使えねぇな」などと言われることもなくなりました。
「ああ,せいせいした。」
独立した当時は,本気でそう思っていました。一人で仕事をする毎日は,本当に気楽で幸せでした。
ところが,独立してしばらくすると,サラリーマン時代には見えなかった景色が見えてきました。
それは,「仕事が途絶えれば,収入も途絶える」という当たり前の現実です。
サラリーマンであれば,上司に嫌われても,会社をクビになることはまずありません。業績評価や査定が多少下がることはあっても,時間が経てば,上司か自分が異動し,新しい人間関係が始まります。
しかし,自営業は違います。
お客さまに信頼されなければ,そこで契約は終わります。要は,クビです。次の仕事はありません。
だからこそ,「自由」である一方,「すべての責任を自分で負う」という厳しさもあります。
よく,「サラリーマンは時間を提供して報酬を得る仕事,自営業は価値やサービスを提供して報酬を得る仕事」と言われます。
まさにそのとおりだと思います。
さらに,サラリーマンは病気になっても,しばらくの間は給与が支払われます。有給休暇や各種制度も整っています。一方,自営業は,働けなければ収入はゼロです。
結局のところ,どちらが良いという話ではありません。
それぞれにメリットもあれば,デメリットもあるのです。
ワタシは独立してから,しばらくの間は,自分のペースで仕事ができることを本当に心地よく感じていました。土日も関係なく,仕事があれば働き,時間ができれば休む。その自由さは,サラリーマン時代には味わえなかったものです。
ところが,最近になって,あることに気付きました。
先日,久しぶりに仙台朝市の馴染みの魚屋さんへ行くと,「しばらく見なかったね。久しぶり」と声を掛けられたのです。
その言葉を聞いて,ハッとしました。
サラリーマン時代は,毎週土曜日の朝になると,決まってその魚屋さんへ通っていました。それが独立してからは,気が付けば何か月も足が遠のいていたのです。
自分では労働時間を自由にコントロールしているつもりでした。
しかし実際には,仕事とプライベートの境界線が曖昧になり,「今日は休もう」と思っていても,メールを確認し,書類のことを考え,依頼者から電話があれば対応する。気付けば,まとまって遊ぶ時間も,趣味を楽しむ時間も減っていました。
自由になったはずなのに,心はいつも仕事につながったまま。
昨日のブログにも書きましたが,知らず知らずのうちに疲れがたまり,自分でも気付かないうちに仕事から離れられなくなっていたようです。
だからこそ,これからは,意識して「仕事を終える時間」をつくるようにしたいと思います。
規則正しい生活を送り,仕事とプライベートをきちんと切り分けることも,自営業には必要な自己管理なのだと痛感しています。
自由とは,「好きなだけ働けること」ではなく,「上手に休めること」でもあるのかもしれません。
行政書士という仕事は,お客さまの人生の節目に寄り添う仕事です。だからこそ,ワタシ自身が心にも時間にも少し余裕を持っていなければ,本当に良い仕事はできません。
これからも,仕事には全力で取り組みながら,ときには仙台朝市で魚を選ぶ土曜日の朝も大切にしたいと思います。
それが結果として,お客さまにより良いサービスを提供できる行政書士であり続けるための,一番の近道なのだと思っています。一昨日の完全休養からこんなことを考えました。

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