最新情報NEWS

ドンペリの値札を見て考えたこと

先日,お客さまへの手土産を購入するため,デパートのワイン売り場に足を運びました。

ワタシがいつも選ぶのは,スペイン産のスパークリングワイン「CAVA」です。中でもお気に入りなのが「Roger Goulart」という銘柄。価格は1本2,000円ほどですが,泡立ちも香りも良く,とても美味しいワインです。

一時期には「ドンペリより美味しいスパークリングワイン」などと評されたこともあったようですが,そこは好みの問題でしょう。ただ,手土産としては気兼ねなく購入できる価格帯でありながら,見栄えも味も十分。ワタシにとっては大変重宝する一本です。この日も白とロゼを1本ずつ購入しました。2本買っても5,000円でお釣りがくるというのもありがたいところです。

ところが,同じ売り場で思わず足を止めてしまいました。

そこに,あの「ドンペリ」が並んでいたのです。

正式名称はドン・ペリニヨン。フランスのシャンパーニュ地方で造られる高級シャンパンで,出来の良い年のブドウだけを使って造られるヴィンテージ・シャンパンとして知られています。長期熟成による繊細な泡立ちと複雑な香りはまさに格別で,ワタシもこれまで数回いただいたことがありますが,「素晴らしい」の一言に尽きる味わいでした。

しかし,ワタシが驚いたのは味ではなく,1本44,000円という価格でした。

「うそ?」と思わず二度見してしまいました。

私が結婚した30年前,結婚祝いとしてドンペリをいただいたことがあります。恐る恐る値段を調べてみたところ,たしか1万円程度でした。

その後,円高が進んだ時代には,ディスカウントストアで7,500円ほどで販売されていたこともありました。我が家でも「今日は特別な日だから」と思い切って購入し,夫婦で楽しんだこともあります。

それが今では44,000円なのです。

もちろん,30年という歳月の中で物価は上がりましたし,品質やブランド価値も変化しています。しかし,それにしても驚かされる価格です。

考えてみれば,1995年頃には1ドル85円前後という超円高の時代がありました。当時の円の価値は,現在と比べるとほぼ倍近かったことになります。

つまり,ドンペリの値段が4倍になったように見えても,為替の影響を考えれば実際にはそこまで単純な話ではありません。それでも,体感としては「高くなったなあ」というのが正直な感想です。

最近は「世界の中で存在感が低下した日本」「取り残された日本」などという報道を目にすることがあります。そのすべてに賛成するつもりはありませんが,少なくとも30年前と比べると,日本人の購買力が相対的に低下していることは事実なのでしょう。

しかし,だからといって必要以上に悲観する必要はないと思います。

世界経済の中で見れば,日本はかつてほど豊かな国ではなくなったのかもしれません。しかし,国の素晴らしさ,豊かさとは所得や為替レートだけで測れるものではありません。日本には,小さな子どもが一人で学校へ通えるほどの安全があります。街を歩けば,道路や公園にはゴミがほとんど落ちておらず,清潔な環境が保たれています。駅のホームや店のレジでは,人々が自然に列を作り,順番を守ります。落とし物が持ち主のもとへ戻ることもあたりまえのこととなっています。

こうした光景は,日本で暮らしていると当たり前に感じてしまいます。しかし,世界に目を向ければ,決して当たり前ではないことばかりです。

ワタシたちは,経済的な豊かさの一部を失ったのかもしれません。しかしその一方で,長い時間をかけて築き上げてきた安全,清潔さ,秩序,そして他人への思いやりという大切な財産を今も持っています。

それらは決して為替相場では測ることのできない,日本の価値なのだと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP