「海事代理士合格マニュアル(9訂版)」が発売されました。
4月8日に「海事代理士合格マニュアル(9訂版)」が発売されました。
本書は令和3年から令和7年までの5年間の出題を踏まえ,各法令の出題形式や傾向,学習方法,さらには過去問からの頻出問題までがコンパクトにまとめられている,海事代理士試験対策としては事実上「唯一」といえる参考書です。情報が限られるこの試験において,体系的に整理された教材の存在はそれだけで「ありがたい」とも言えます。
令和8年試験の日程は現時点では公表されていませんが,例年どおりであれば9月下旬に筆記試験が実施され,約一月後の合格発表を経て11月下旬から12月上旬にかけて口述試験が行われる流れになるでしょう。
当サイトでは筆記試験に関する詳細な情報提供は予定していませんが,10月上旬頃を目安に,口述試験の概要やワタシ自身の対策,受験時の所感などを複数回に分けてお伝えする予定です。
海事代理士試験は,令和7年試験で出願者565名,受験者435名と,「八士業」の中でも最も受験者数が少ない試験です。ただし,近年は増加傾向にあり,難化傾向にあります。それでもなお,資格予備校による対策講座は伊藤塾に限られており,受験情報も決して豊富とはいえません。そのため,本マニュアルを活用して独学で挑戦される方も多いのが実情です。
有効な学習方法としては,まずマニュアルに記載された出題傾向をしっかり把握し,掲載されている問題を繰り返し解くことに尽きるとワタシは考えています。加えて,法令の条文にも一度は目を通しておく必要がありますが,必ずしも条文を逐語的に読み込む必要はありません。特に船舶法や船舶安全法のような,いわゆるカタカナ法令は読み慣れないと骨が折れます。ですから,「この条文は何を定めているのか」という要点を押さえ,中身を整理して覚える方が効率的です。
また,過去問の重要性は改めて強調するまでもありません。海事代理士試験では,過去に出題された問題が繰り返し出題される傾向があります。国土交通省の「海事代理士になるには」のページには,マニュアル未掲載分を含めて複数年分の過去問が公開されていますので,これらをダウンロードし,繰り返し解くことを強くおすすめします。ワタシの実感としては,試験問題は大きく変わらないように見えて,数年単位でゆるやかに変化しています。したがって,直近5〜6年分を重点的に回せば,十分に対応可能ではないかと考えています。
さらに,学習配分も重要です。出題される20法令のうち,「船員法」「船舶法」「船舶職員及び小型船舶操縦者法」「船舶安全法」は,筆記試験で配点が倍の20点とされており,口述試験の対象科目でもあります。この4科目を軸に据えて学習を進めることが,合格への近道になるでしょう。逆に一般法令である憲法と民法は条文数が多く、出題範囲も広いことから,あまり深入りすることはオススメしません。過去問を解き,本試験では「3~5点取れれば十分」くらいの気持ちで、他の海事法令科目に集中する方が得策だと思います。
海事代理士試験は,情報が少なく,一見すると対策が立てにくい試験です。しかし,海事法令は条文数も少なく,出題範囲は広くないですし,傾向は比較的素直であり,やるべきことを整理して積み上げていけば,高得点での合格が期待できる試験です。
ワタシ自身,法律実務に携わる中で常々感じていることですが,大切なのは「すべてを知ること」ではなく,「必要なポイントを正確に押さえること」です。海事代理士試験は正解が6割程度で合格できる試験です。条文の細部に迷い込むのではなく,法令の目的,基本的な考え方を把握し,本質をつかむことが結果につながります。
そしてこの姿勢は,試験に合格した後の実務にもそのまま通じます。膨大な法令の中から要点を整理し,依頼者にとって最適な解を導くこと――それこそが法律を扱う海事代理士に求められる役割です。試験勉強の段階からその視点を持つことが,合格後の実務への最良の準備になるのではないでしょうか。
受験生の皆さんの健闘をお祈りいたします。

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