幸福度ランキングに思う,「比べる社会」と寄り添う仕事
2025年の世界幸福度調査の結果が公表されました。フィンランドが8年連続で1位となり,デンマーク,アイスランド,スウェーデン,オランダといった北欧・西欧の国々が上位に並びました。さらに,コスタリカやメキシコが初めてトップ10入りしたことも話題となっています。
一方,日本は55位で,前年の51位から順位を下げました。G7の中では最下位という結果ですが,アジアの中では韓国や中国を上回っており,先進国の中では中位よりやや下という位置づけのようです。
この調査は単なる所得水準ではなく,社会的支援,自由,寛容さ,他人への信頼といった要素を総合的に評価したものです。2025年版では特に,「人は思っているより親切であり,その認識が幸福感を高める」という点が強調されています。
もっとも,ワタシはこの結果を見て,率直に「北欧の人たちは本当にそんなに幸せなのだろうか」と感じました。北欧は,冬が長く暗く,厳しい寒さに閉ざされる地域です。それでも幸福度が高いと評価されるのは,単なる気候や物質的な豊かさでは測れない何かがあるのでしょう。
その一方で,日本がG7で最下位といわれても,「それほど悪い国なのだろうか」とも思います。日々の生活の中で,大きな不安や不自由を感じる場面は決して多くはありません。
ワタシは,幸福度というものは絶対的なものではなく,極めて相対的なものではないかと考えています。人間の欲求は際限がなく,どの段階にいるかによって求めるものも変わります。情報が限られた環境では,そもそも比較対象が少ないため,満足の水準はそれほど高くならないかもしれません。しかし,日本やアメリカのように情報があふれ,他人との比較が容易な社会では,より高い水準を求めるようになり,結果として幸福度が下がって見えることもあるのでしょう。
かつて「世界で最も幸福な国」といわれたブータンでも,スマートフォンの普及によって他国の状況が身近に見えるようになり,政府への不満が高まっているという話を耳にします。情報の広がりが,必ずしも幸福感の向上につながるわけではないという好例かもしれません。
そう考えると,日本の順位が低いことを過度に気にする必要はないように思います。むしろ,自分なりの基準で「何が満たされているのか」を見つめ直すことの方が大切なのではないでしょうか。
そして,この「幸福は相対的である」という視点は,ワタシの仕事にも通じるものがあります。行政書士として日々向き合うのは,決して同じではない一人ひとりの事情や悩みです。ある人にとっては小さな手続きでも,別の人にとっては大きな不安の種であることも少なくありません。
だからこそ,単に制度や書類を扱うのではなく,「その人にとっての安心とは何か」を考えながら寄り添うことが大切なのだと感じています。
幸福度ランキングは国全体の傾向を示すものにすぎませんが,ワタシの仕事は,目の前のお客さま一人ひとりの「安心」や「納得」を積み重ねていくことにあります。大げさにいえば,それがその方の幸福度を少しでも高めるお手伝いになるのであれば,行政書士としてこれ以上のやりがいはないと感じています。

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