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海上運送法から見る安全確保の境界線――辺野古沖転覆事故を海事代理士が考える(後編)

前編では,今回の事案が一定の場合には海上運送として評価され得る点について整理しました。
後編では,運航体制や関係者の役割という観点から考えてみます。

4 運航体制と適格性

旅客を乗せて運航する場合,通常は

  • 船舶の安全設備
  • 運航管理体制
  • 保険加入状況

などについて,一定の水準が求められます。

これらは,海上運送法に基づく許可・登録制度の中で担保されることが想定されています。

仮に,これらの制度的枠組みの外で旅客の輸送が行われていた場合には,安全確保の観点から課題が生じる可能性があると考えられます。

5 「誰に運航を任せるか」という視点

もう一つの重要な視点は,運航主体だけでなく,利用する側の選定です。

修学旅行のような団体行動においては,

  • 運航主体の法的な位置付け
  • 安全体制
  • 実績

などについて,一定の確認が行われることが望ましいとされています。

これは法的義務として明確に画一的に定まっているものではありませんが,実務上は,契約や安全配慮の観点から重要な検討事項となる場面が少なくありません。

6 市民活動と安全規制は別の問題

最後に改めて確認しておきたいのは,
活動の目的や評価と,安全規制の問題は別次元であるという点です。

どのような立場や目的であっても,旅客を乗せて海上を航行する以上は,一定の安全基準や制度の枠組みの中で運用されることが求められることになります。

今回の事案についても,報道されている事実関係を前提とする限りにおいては,「善意」や「無償性」と,法制度上の安全確保の仕組みとの関係を改めて考える契機となり得るのではないかと感じています。

以上,海事代理士としての立場から,制度面に限定して整理してみました。
本稿が,海上における安全確保のあり方を考える一助となれば幸いです。

※前編でも述べましたが,本稿は,特定の立場や活動の是非について評価するものではなく,あくまで海上運送に関する法制度の観点から,どのような点が問題となり得るのかを整理することを目的としています。

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