元サラリーマン行政書士の持つ「見えない資産」(後編)
(前編から続く)
まず第一に,ビジネス文書を短時間で作成できる能力です。
もちろん100点満点の文章というわけではありませんが,ワタシは一定の質のビジネス文書やブログ記事を,平均的な方の半分以下の短い時間で作成できると自負しています。ワタシは毎日ホームページのブログを更新していますが,1本の記事を完成させるのにかかる時間はおおむね40分くらいです。
もちろん,日頃からテーマを考えたり,「こんなことを書こう」という「ネタ帳」は作っていますが,いざ書き始めてから挿絵を含めて記事を完成させるまでの時間は,かなり短いほうではないかと思っています。この能力は,子供の頃から、母親に手紙を書く習慣をつけさせられたことやサラリーマン時代の日々の業務の中で,報告書や資料を数多く作り続けた経験によって培われたものです。
第二に,資料作成とプレゼンテーションの能力です。
サラリーマンの仕事というのは,ある意味で「資料を作る仕事」と言ってもよいかもしれません。報告書,稟議書,企画書などを作成し,上司や関係部所に説明するという作業の繰り返しです。課長,部長,役員といった多くの方々から指示を受け,ときには厳しい指摘をいただきながら,資料作成の技術を磨いてきました。
行政書士の仕事もまた,書類作成や資料作成が中心です。ワタシは「書類は分かりやすく」「資料はきれいで見やすく」ということを常に心がけています。そのためか,役所の窓口で「あなたの資料は見やすくてきれいですね」と言っていただくこともあります。こうした評価は,手続きをスムーズに進めるうえでも大きな助けになっていると感じています。これもまた,サラリーマン時代に多くの方に鍛えていただいた成果だと思っています。
第三に,電気に関する基礎的な知識です。
ワタシは現在,太陽光発電所建設のための農地転用申請業務などにも取り組んでいます。この仕事では,電気工作物や系統連系に関する基礎的な知識が必要になる場面があります。ワタシ自身は事務系の社員でしたので,電気工学の専門的な知識があるわけではありません。しかし,サラリーマン時代に電気使用受付の仕事を担当し,電気工事店の方々と日常的にやり取りをしていた経験があります。そのおかげで,配線図など簡単な電気関係の図面は読めるし,電気設備や系統連系に関する基本的な理解が身についており,現在の業務にも大いに役立っています。
技術的な分野というのは,最初のハードルが高く,一歩踏み出すのが難しいものです。しかし一度その世界に足を踏み入れると,基礎的な理解があるだけでも大きな強みになります。その意味で,過去の経験が今の仕事に生きていると感じる場面は少なくありません。
そして最後に,30年以上サラリーマンとして働いてきたことで身についたビジネス感覚や倫理観です。
現在の仕事には社長も部長もいません。つまり,判断し,決断するのはすべて自分自身です。そのような環境の中で,サラリーマン時代に培った常識や価値観は,自分の判断の基準となり,自分を守るガイドラインとして機能しています。長い社会人経験の中で身についたビジネスの感覚や倫理観は,目には見えませんが,大きな資産だと感じています。
「サラリーマンはつぶしがきかない」と言われることがあります。しかし,自分自身の経験を振り返ってみると,決してそんなことはないと改めて感じています。
これまでのキャリアの中で身につけてきたものは,形を変えて必ずどこかで役に立つものです。ワタシ自身,これからもその経験を大切にしながら,行政書士としての仕事を続けていきたいと思っています。
読者の皆さまも,これまでのキャリアの中で培ってきた能力や強みを,ぜひ一度棚卸ししてみてはいかがでしょうか。これまで気づかなかった自分の資産が見つかるかもしれません。そしてそれは,これからの人生やキャリアをより充実させるための,大切な武器になるのではないかと思います。

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