ワタシの営業戦略と一本の営業電話
先日,あるウェブサイトの担当者から一本の電話をいただきました。内容はあるポータルサイトの「『専門家紹介』のページに専門家としてあいはら行政書士事務所を掲載したいのですがいかがでしょうか」というものです。いわゆる士業向けの広告掲載の営業で,掲載料は月額2万円とのことでした。
このような営業の電話は,実はそれほど珍しいものではありません。
「先生のような立派な先生をぜひ紹介したい」などという巧みなセールストークとともに,広告掲載の提案をいただくことはこれまでにも何度かありました。
しかしワタシは,このような報酬前払い型の広告掲載については,基本的にお断りすることにしています。理由はシンプルで,支払う広告費に対して,それに見合う効果が期待できないと考えているからです。
似たような営業として,「掲載自体は無料だが,当サイト経由で業務を受任した場合には報酬の30%~60%を手数料として支払ってください」という仕組みのものもあります。ワタシも開業当初は,「まずは勉強として業務を経験してみたい」という気持ちから,いくつかのサイトに自分の広告掲載を認めたことがありました。しかし現時点では,それらのサイトからの受任依頼は一件もありません。正直なところ,効果はほとんど感じられていないというのが実感です。
そのような経験もあり,今回ご提案いただいた「月額掲載料を支払う広告」についても,当事務所にとっては大きな効果は期待できないだろうと判断し,丁重にお断りしました。
もっとも,ワタシはこのような営業電話に対しても,できるだけ丁寧に対応するよう心がけています。正直,「この忙しいときにカンベンしてよ」と思うこともあります。世の中には,営業電話がかかってくると途中で「ガチャリ」と電話を切ったり,ぞんざいな対応をされる方も多いのではないかと思います。しかしワタシは,相手の話をきちんと聞いたうえで,丁寧にお礼を述べ,お断りする理由もできるだけ具体的に説明するようにしています。
その理由はいくつかあります。
まず第一に,縁あって電話をいただいた方に対して,ぞんざいな対応をするべきではないとワタシは考えているからです。営業とはいえ,相手も仕事として誠実に電話をかけてこられているわけですから,こちらも礼儀をもって対応するのが当然だと思っています。
第二に,その方が将来,ワタシの顧客になる可能性もゼロではないということです。どこでどのようなご縁がつながるかは分かりません。目の前の相手を一人の人として大切にすることは,長い目で見れば大切な営業でもあると考えています。
第三に,このような電話への対応は,自分自身の顧客対応力を磨く良い訓練になるという点です。相手の話を聞き,自分の考えを整理して丁寧に伝えるという作業は,まさに日常の業務そのものです。営業電話であっても,対応の仕方次第で自身のスキル向上につながります。
そして第四に,これは少し現実的な理由ですが,ワタシは事務所の住所や電話番号をホームページ上で公開しています。そのため,危機管理の観点からも,相手に不要な反感や怒りを買うような対応はできるだけ避けるべきだと考えています。
今回の電話でも,ワタシは当事務所の営業方針について簡単に説明しました。具体的には,自分の主力業務は何であるのか,それぞれの業務についてどのような営業戦略を考えているのか,そしてその前提として自分の強みと弱みは何なのか,といった点です。いわば簡単なSWOT分析のような自己分析を行い,その結果として現在の営業スタイルを採っているということをお話ししました。
そして,不特定多数に向けた広告よりも,当事務所の場合は現在の方法のほうが合っていると考えているため,今回のご提案については見送らせていただきたいという旨をお伝えしました。
電話口の向こうにおられた担当の方は,とても頭が良くリーズナブルな方でした。
「お話はよく分かりました」「きちんと自己分析をしておられて,戦略も素晴らしいですね」と言ってくださり,最後には「お話ししていてとても楽しかったです。丁寧なご対応をいただきありがとうございました」とまで言っていただきました。
営業電話にここまで丁寧なお礼を言われることは,正直あまり多くありません。けれどもワタシは,こういう誠意を尽くしたやり取りこそが大切なのではないかと思っています。
悪意のある電話であれば別ですが,きちんとした営業の電話に対しては,こちらもきちんと応対する。それもまた行政書士としての大切な仕事の一つではないでしょうか。
これからもワタシは,このようなスタンスを大切にしながら,ブレることなく,自分なりの営業スタイルを貫いていきたいと思っています。
一本の営業電話もまた,ワタシにとっては自分の仕事の姿勢を見つめ直す小さな機会なのです。

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