ゴールの先にあるもの――スタジアムで学ぶ「秩序」の力
ワールドカップサッカーが開催されており,毎日熱戦が繰り広げられています。ワタシもサッカーが大好きなので,時間を見つけては試合を観戦し,世界最高峰のプレーを楽しんでいます。
そんな大会で,毎回のように話題になるのが,日本サポーターによるゴミ拾いです。
試合終了後,スタンドに残ったゴミを自主的に拾い集め,きれいにして帰る姿は,今ではすっかりおなじみの光景となりました。日本人は公共心が高いと言われますが,海外ではこの行動が驚きをもって受け止められ,大きな賞賛を集めました。そして今では,各国のサポーターにも同じような行動が広がりつつあり,日本の文化が世界のサッカー文化に良い影響を与えたと考えると,とても誇らしい気持ちになります。
一方で,「日本人が掃除をすることで,本来清掃を担当する人の仕事を奪ってしまうのではないか」という意見を耳にすることもあります。しかし,こうした清掃活動はあくまでサッカーという特別なイベントの場で行われるものです。開催国の社会全体に影響を与えるようなものではありませんし,「来たときよりも美しく」という考え方は,日本人が昔から大切にしてきた文化でもあります。だからこそ,ワールドカップの一つの風景として,これからも自然な形で受け継がれていけば良いのではないかと思っています。
実は,この光景はワタシが応援しているベガルタ仙台のホームスタジアムでも,日常的に見ることができます。
もちろん,多くのサポーターは,自分で出したゴミをきちんと持ち帰るか,ゴミ箱へ捨てて帰ります。しかし,時折,座席の下などに飲み物のカップや袋が残されていることがあります。
そんなとき,そのゴミを置いていった本人とはまったく関係のないサポーターが,何も言わずにひょいと拾い上げて持っていく姿を,ワタシは何度も見てきました。ワタシ自身も,そこにゴミがあれば,特別なこととは思わず拾って片付けています。
スタジアムは,サポーターにとって大切な「聖地」です。だからこそ,自分たちが応援する場所を汚したままにはしたくありません。「誰が捨てたか」ではなく,「自分が片付ければ済む話」。そんな気持ちを,多くの人が自然に共有しているのだと思います。
そのおかげで,ベガルタ仙台のホームであるユアテックスタジアム仙台は,いつ訪れても気持ちの良い環境が保たれています。サポーターの一人として,とても誇らしく感じています。
誰かに命じられたからではなく,自分の意思で行動する。その積み重ねが,美しい秩序を生み出しているのです。ルールはもちろん大切ですが,本当に社会を支えているのは,ルールを守ろうとする一人ひとりの心なのだと,スタジアムへ行くたびに感じます。
行政書士という仕事も,実は同じだと思っています。法律や制度,契約書や許認可など,ワタシたちは「ルール」を扱う仕事です。しかし,本当に大切なのは,書類を作ることだけではありません。そのルールが社会の中で円滑に機能し,人と人との信頼を育み,安心して暮らせる環境を支えることです。
ゴミ一つを拾う行動も,お役所に申請する仕事も,目指しているものは同じなのかもしれません。誰かが気持ちよく過ごせる社会を,少しだけ良くすること。その積み重ねこそが,秩序ある社会をつくる力になるのだと,ワタシは信じています。

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