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居酒屋新幹線の愉しみ

「#居酒屋新幹線」というドラマがあります。眞島秀和演じる,損害保険会社に勤める主人公が,日帰り出張の帰りに,各地で買い集めたご当地グルメと地酒を新幹線の車内で一人ゆっくり味わうという,少し変わった深夜ドラマです。

これまで東北新幹線編や北陸新幹線編などが放送されており,東北新幹線編では,仙台,盛岡,八戸など,ワタシたちに馴染み深い土地の地酒や名物料理が数多く登場しました。

笹かまぼこ,牛たん,三角油揚げ,地酒――。

画面に映るたびに「あるある」と思いながら,つい見入ってしまいます。

考えてみれば,出張帰りに土地の名物を買い込み,帰りの新幹線で一杯やるというのは,多くのサラリーマンが経験してきた“ささやかな楽しみ”ではないでしょうか。

かくいうワタシにも,「居酒屋新幹線」の思い出があります。

ワタシはサラリーマン時代,東京や名古屋での会合や打合せが多く,多い年には年間40回以上,新幹線で日帰り出張をしていました。

昔は泊まりが当たり前だった出張も,近年は交通機関の高速化と旅費削減の影響で,東京はもちろん,名古屋や大阪ですら,よほどのことがない限り日帰りになっていました。

正直に言えば,朝早く出発し,夜遅く帰る出張はなかなか大変です。しかし,その代わり,帰りの車内にはちょっとした楽しみが待っていました。

名古屋なら,手羽先や味噌カツを買い込み,ビールで一杯。さらに,名古屋から東京までは一次会,東京駅で柿の種やピーナツを追加購入して,仙台まで二次会ということもありました。

東京出張の帰りも,ワタシにとっては立派な「居酒屋新幹線」でした。

東京駅の大丸で弁当を買ったり,駅の売店で売っている国技館名物の焼き鳥を買ったりするのが定番でした。いつもの席に座り,新幹線が動き出すと開店です。

ただし,東京駅発の「はやぶさ」は油断できません。酒が進みすぎると,うっかり寝過ごして盛岡まで行ってしまいかねないからです。

それでも,車窓を眺めながら一人でゆっくり飲む時間は,不思議と心がほどけるような感覚がありました。

また,秋田へ単身赴任していた頃も,「居酒屋新幹線」は週末の楽しみでした。

秋田駅で比内地鶏の焼き鳥や弁当を買い,日本酒を一本。

仕事を終えた開放感と,久しぶりに自宅へ帰れる嬉しさが重なり,いつも以上に酒も肴も美味しく感じたことを覚えています。

最近は,列車での遠方出張はほとんどなくなりました。

行政書士になってからは,車で県内を回ることが多くなり,新幹線で一人酒をする機会もありません。その代わり,県内の「道の駅」で美味しいものを見つけては,自宅で妻や愛犬と一緒に楽しむ時間が増えました。

一人で過ごす「居酒屋新幹線」も楽しかったですが,家族と囲む食卓にはまた別の温かさがあります。贅沢ではありませんが,こうした「小さな幸せ」を積み重ねられることこそ,豊かな人生なのかもしれません。

もっとも,移動が車ですから,帰りの車内で一杯とはいきません。

そのため最近のワタシは,「居酒屋新幹線」から,「晩酌道の駅」へと業態変更したのでありました。

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