合羽橋の賑わいと「調和」のルール
この週末は東京へ行き,大学時代のサークルの同窓会に出席してきました。毎年恒例の行事で,いつも楽しみにしているイベントです。サークルも40年以上続いており,バトンをしっかりとつないでくれた歴代のメンバー,そして現役部員のみなさんには感謝の気持ちしかありません。
せっかく上京したのですから,少しだけ都会の空気も楽しんできました。
ワタシは料理が趣味ですので,上京した際には築地の街をぶらぶらするのも好きなのですが,今回は料理道具や食器を扱うお店が軒を連ねる,浅草の合羽橋道具街に行ってきました。今回の目的は,おせち料理を飾る器です。重箱だと盛り付けが少し難しいのですが,大きめの松花堂弁当箱に多めの仕切りを入れて盛り付けたら「映える」のではないかと思いついたのです。
そうした品を多く扱っている専門店に目星をつけて探してみると,すぐに「コレだ!」という品を見つけることができ,無事に買い求めることができました。合羽橋は「こういう道具が欲しい」と思ったときに専門店へ行けば大概のものが揃うため,東京に来た際には時々足を運ぶ大好きな街です。
いつもなら,目当てのものを見つけたあとは街をぶらぶらと歩き,「おや?」と気になったお店に入って面白い道具を見つけるのが楽しみなのですが,今回はそれがままなりませんでした。
最近の円安に伴う日本ブームで外国人が殺到していることは連日報道されていますが,この合羽橋も例外ではありません。ものすごい数の外国人観光客で街があふれていたのです。観光客のお目当ては,海外で非常に評価の高い包丁や刃物,食品サンプル,そして和食器など。これらを扱うお店は外国人観光客でごった返し,ゆっくりと品物を選ぶような雰囲気ではありませんでした。ワタシが何度か包丁を買っている専門店も,お客さまのほとんどが外国人。通りの細い歩道まで人があふれ,歩くのにも苦労するほどでした。結局,目当ての品物は買えたものの,それ以外は何もできずに街を後にすることになりました。
インバウンド増加に伴う観光公害(オーバーツーリズム)は京都をはじめ多くの地域で話題になっていますが,「こういうことか」とその実態を目の当たりにした気分でした。日本の魅力的な街に外国人が行きたいと思うのはごく自然なことですし,ワタシ自身が海外旅行に行っても同じように楽しむはずです。せっかく日本に来てくれたのですから,日本の良さを存分に楽しんでほしいという気持ちもあります。また,地元の商店街にとっても「願ってもないビジネスチャンス」ですから,外野がとやかく言うことでもありません。「商売繁盛」は素晴らしいことです。
それでもなお,観光客が街にあふれ,昔からの買い物や地域の生活がままならなくなるのは,やはり困った課題です。
「日本ブームが終わるのを待つしかないのか……」とため息をつきそうになりますが,せっかくのビジネスチャンスを活かしつつ,住む人も訪れる人も心地よく過ごせる「特効薬」はないものでしょうか。
ここでふと,先ほど購入した「松花堂弁当箱」のことが頭に浮かびました。
松花堂弁当の魅力は,一つの箱の中にきっちりとした「仕切り」があることです。味や見た目の異なるさまざまなおかずが,適切な「仕切り」によってお互いの良さを引き立て合い,見事な調和を生み出しています。
街の混雑やインバウンド問題も,これと同じなのかもしれません。
単に混ざり合うだけではカオスになってしまいますが,歩行ルートの整理やマナー周知の仕組み,時間帯の分散,あるいは観光客向けと地域住民向けの動線分離など,適切な「ルールや制度」という名の『仕切り』を設けることで,お互いが快適に共存できるようになるはずです。
行政書士の仕事でも,関係者それぞれの事情を理解し,異なる立場の人たちが納得できる解決策を探ることがあります。観光地の問題も規模こそ違いますが,一方の利益だけを追求するのではなく,関係者が共存できる落としどころを探すという点では,共通するものがあるように思います。
……さて,思考の「仕切り直し」はうまくできましたが,わが家の正月のおせち料理,松花堂弁当箱の「仕切り」の中に綺麗におかずを収められるかどうかは,また別の話。
盛り付けの腕前ばかりは,行政書士の仕事ではどうすることもできません。年末に向けて板前修業に精励したいと思います。

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