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電気自動車について考えてみました(後編)

もう一つ,ワタシが気になるのが,電気を作るためのエネルギーです。

EVは走行中に排気ガスを出しません。ただし,その電気を作る発電所まで含めて考える必要があります。再生可能エネルギーや原子力など,発電時のCO₂排出が少ない電源が十分にあれば,EVの環境面でのメリットは大きくなります。

逆に化石燃料による発電に大きく依存しているのであれば,「EVにしたから問題は解決」というほど単純ではありません。

ここは,東日本大震災を経験したワタシには特に気になるところです。

震災以降,日本の電源構成は大きく変わりました。

ワタシは電力会社で長く燃料調達の仕事をしていましたから,石油,石炭,LNGなどをどうやって調達し,どうやって電気に変えていくのかという問題は,ずっと身近なテーマでした。

だから,EVを見るときにも「自動車」だけではなく,「電源」まで見てしまうのです。

そして,もう一つ考えてしまうのが石油です。

ガソリンは,地下からそのまま出てくるものではありません。

原油を製油所で精製して,ガソリン,灯油,軽油など,さまざまな石油製品を作っています。もし将来,EVが大きく普及してガソリンや軽油の需要が減っていったら,製油所や石油産業はどうなっていくのでしょうか。

もちろん,「ガソリンが減ればナフサもなくなる」という単純な話ではありません。

ナフサなどは石油化学製品の原料として使われますし,石油製品の需要構造そのものが変わっていく可能性があります。

そう考えると,EVへの移行というのは,単に「ガソリン車を電気自動車に買い替える」という話ではないのです。

発電所があり,送電線があり,充電設備があり,その先に自動車があります。

さらにその一方で,石油を作る側の産業構造も変わっていく。

これは,かなり大きな社会の変化です。

ワタシはEVの普及そのものに反対しているわけではありません。

便利なところではEVを使えばいい。

電気で走らせることが合理的な車は,電気で走らせればいい。

一方で,砂漠の真ん中を走る車,山奥を走る車,長距離を走る大型車,船や飛行機まで,すべて同じ方法でエネルギーを供給する必要があるのか。

ワタシは,そこをもう少し冷静に考えてみてもいいのではないかと思っています。

結局,問題は「EVかガソリン車か」という二択ではないのかもしれません。

どこで,何を使って,どれだけのエネルギーを必要とするのか。

それぞれの場所と用途に応じて,最適なエネルギーを考える。

ワタシは,長年電力会社で仕事をしてきたせいか,どうしてもそんなことを考えてしまいます。

そして,もう一つワタシが気になるのが税金です。

ガソリンでも,経由でもLPガスでも現在,燃料で走っている車なら,走れば走るほど燃料を消費し,その中には税金が含まれています。

ところがEVでは,電気をいくら使っても,ガソリン税等のように走行に直接対応する税負担はありません。

もちろん,EVにも自動車税や自動車重量税などの税負担があります。したがって,「EVは税金を払っていない」という話ではありません。

しかし,EVが増えてガソリンや軽油の消費量が減れば,これまで燃料を通じて集めてきた税収も減っていきます。

道路はEVもガソリン車も同じように走ります。では,EVが主流になったとき,道路を維持する費用を誰がどのように負担するのでしょうか。

これは,EVが環境に良いか悪いかとは別の問題です。

エネルギーが変われば,税金の取り方まで変えなければならない。

ワタシには,こちらの問題の方が,案外大きな話に思えます。

技術が変われば産業が変わり,産業が変われば制度が変わり,制度が変われば行政手続きも変わります。

EVの話をしていたはずなのに,最後は税金と行政の話になってしまいました。

どうもワタシは,何を見ても行政書士の仕事につなげてしまうようです。

でも,日本国政府は,電気自動車の前に、日本が世界で突出した高い技術を持ち,現行のインフラもそのまま生かせるハイブリッド車技術を推進しないのでしょう?

電気自動車を考えるにあたり,実はこれが一番腑に落ちない事実なのです。

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