「数を減らす」より,「民意をどう集めるか」が大事
国会では,会期末を迎えて与野党の対立が激しくなっています。高市政権が進める衆議院議員定数削減法案や副首都法案を巡り,野党が強く反発し,国会運営にも大きな影響が出ています。
ワタシは,政治信条は人それぞれであり,各政党がどのような政策を掲げ,どのような戦術を取るかは自由だと考えています。そして,その評価は最終的に選挙で国民が下すものです。
その意味では,「ご自由になされば良い」というのが基本的な考えです。
もちろん,衆議院では与党が多数を占めているため,野党にとって対抗手段が限られていることも理解できます。しかし,前回の総選挙で示された民意を踏まえれば,「言いがかり」と受け取られかねないような理屈を重ねても,有権者の支持をさらに失うだけではないかと,余計な心配までしてしまいます。
一方で,ワタシ自身は「議員定数の削減」そのものには,少し疑問を感じています。
国会議員の歳費や活動経費は,たびたび批判の対象になります。しかし,「議員一人あたり約1億円」という金額だけを見て,高いか安いかを判断するのは少し短絡的ではないでしょうか。
仮に45人の議員を削減したとしても,削減される経費は年間約45億円程度です。国民一人あたりに換算すれば,年間40円程度の負担軽減にすぎません。
もちろん,税金の無駄遣いは許されません。しかし,国会議員の本来の役割は,全国各地の民意を集め,それを法律や政策として国政に反映させることです。その役割を考えれば,一定数の議員を確保することにも十分な意味があると思います。
むしろワタシが気になるのは,「一票の格差」の是正が進む中で,地方選出議員が次々と減っていることです。
人口比例だけを追求すれば,当然ながら都市部の議席は増え,地方の議席は減ります。しかし,人口が少ない地域にも,そこに暮らす人々の生活があり,地域特有の課題があります。
この流れが進めば,国政に反映されるのは都会の声ばかりになり,過疎地域や地方の課題が後回しになる可能性もあります。
だからこそ,将来的には,小選挙区だけではなく,地方ブロックごとの代表や,全国区のような形で幅広い民意を吸い上げる仕組みも検討する価値があるのではないでしょうか。
もっとも,現在の比例代表並立制には賛成できません。
選挙区で有権者から明確に「ノー」という判断を受けた候補者が,比例代表で復活当選する制度には,どうしても違和感があります。また,今回の衆議院選挙で話題となったように,ある政党が獲得した議席数が候補者数を上回った結果,他党へ議席が割り振られるような制度にも疑問を感じます。
ワタシなら,そのような場合は無理に他党へ配分するのではなく,「欠員」とする制度の方が,よほど国民の意思に忠実ではないかと思います。
もちろん,どのような選挙制度にも長所と短所があります。完璧な制度は存在しません。
しかし,本当に目指すべきなのは,「議員を何人減らすか」ではなく,「どうすればより多くの民意を国政へ反映できるか」を考えることではないでしょうか。
制度は,単に経費を削減するために存在するものではありません。民主主義をより良く機能させるために存在するものです。
行政書士の仕事でも,法律や制度は「減らす」「厳しくする」ことが目的ではなく,「国民の権利を守り,社会を円滑に動かす」ためにあることを日々実感しています。
だからこそワタシは,議員定数を減らす議論以上に,「民意をどう吸い上げ,どう制度へ反映させるか」という議論こそ,国会にはもっと時間をかけて取り組んでほしいと思っています。

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