「無料」の向こう側を考える
週末,業務で使用するプリンタのインクなどを買いに,近所の家電量販店へ行ってきました。
休日の家電量販店というのは,いつ行っても独特の活気があります。新生活向けの家電を眺めている若い人もいれば,大きなテレビの前で足を止める家族連れもいる。必要なものだけを買って帰るつもりでも,つい店内を一周してしまうのが不思議なところです。
もっとも,入口付近には毎回のように携帯電話会社の販売員の方々が並び,「ビンゴやってます」「くじ引きできます」と声を掛けてきます。ワタシも今回,例によって声を掛けられました。
もちろん,くじを引けば何か景品をもらえるのでしょう。しかし,世の中に「何の代償もなくタダでものをくれる人」がいないことくらいは,小学生でも知っています。
その先には,おそらく携帯電話の乗り換えや料金プラン変更の案内が待っている。そう考えれば,無料のくじ引きというのは,あくまで会話の入口に過ぎません。
ワタシもその背景は十分理解しているので,今回も丁重にお断りして店内へ入りました。
ただ,いつも不思議に思うことがあります。
多くの人が「その先に営業が待っている」と理解しているこの手法は,果たして本当に効果があるのだろうか,ということです。
例えば,まだ世の中に十分普及していない商品やサービスであれば話は分かります。
成長段階にある市場では,まず知ってもらうこと自体に大きな意味があります。幅広く声を掛け,関心を持ってもらうことには合理性がありますし,そこから新しい需要が生まれることもあるでしょう。
しかし,携帯電話はすでに社会に浸透しているインフラです。
中学生から高齢者まで,多くの人が日常的に利用していますし,大手通信会社の料金体系も以前ほど大きな差があるようには見えません。もちろん,NTTドコモやKDDI,ソフトバンクと,いわゆる低価格携帯と言われるMVNOとの間で価格競争はあるのでしょうが,同じようなカテゴリー同士で劇的に契約先を変える人が,果たしてどれほどいるのかは気になるところです。
しかも,店頭を眺めていても,積極的に応じているお客さんはそれほど多くありません。
それでも毎週のように同じ営業が続いているということは,おそらくワタシには見えていない数字や事情があるのでしょう。一定数は契約につながるのかもしれませんし,あるいは「とにかく接点を持つこと」に意味があるのかもしれません。
もっとも,こうした光景を見ていると,「営業」というものの本質は,商品説明ではなく「まず立ち止まってもらうこと」にあるのだろうと感じます。
人は,興味のない話は最初から聞きません。だからこそ,くじ引きやビンゴという形でまず接点を作る。その意味では,あの営業スタイルは,現代版の「呼び込み」なのかもしれません。
行政書士の仕事も,考えてみれば少し似ています。
どれほど良い知識やサービスを持っていても,お客さまに、その存在を知っていただかなければなりません。まず「この人に相談してみよう」と思っていただけなければ,仕事にはつながらないわけです。もっとも,ワタシの場合は,ビンゴ大会ではなく,無料相談会でお客さまの話を聞いたり,地道にこのブログを書き続けるくらいしかできないのですが,その先につながるものを信じて今の活動を続けて参りたいと思います。

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