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新規格原付に見る「制度」と「現場」のズレ

先日,ワタシは初めて,新規格の原付バイクの登録業務を行いました。

いつものようにバイク販売店からの依頼を受け,書類を受け取りに伺ったところ,店内に一台の新車が置かれていました。その堂々とした車格から,ワタシはてっきりピンクナンバー,いわゆる原付二種(125cc未満)のバイクだと思い込み,「今回はピンクですか?」と尋ねました。

すると店主は笑いながら,「違う違う,これが新しい規格の原チャリだよ」と教えてくれたのです。

近づいてよく見ると,確かにナンバー区分は原付一種です。しかしながら,その車体は従来の50ccバイクとはまるで別物で,むしろ125ccクラスと見紛うほどの立派な造りでした。「立派でしょう?その分,高いんだよ」という店主の言葉に,ワタシは思わずうなずいてしまいました。

今回の新規格原付は,エンジン出力を抑えることで法的には従来の原付一種に分類されつつも,車体そのものはワンランク上の125ccクラスと同等のものが採用されています。そのため,車格は大きく,装備も充実し,結果として価格も大きく上昇しています。かつての原付バイクが10万円前後で購入できた時代,あるいは5万円台の簡素なモデルが存在したことを思えば,現在の20万円以上という価格帯は,利用者にとって決して軽い負担ではありません。

ここでワタシが感じたのは,「制度設計」と「現場感覚」との間にある微妙なズレです。

確かに,供給側の事情は理解できます。50ccクラスの市場は長らく縮小傾向にあり,開発コストや環境規制への対応を考えれば,従来型の低価格モデルを維持することが難しくなっているという事情は十分に理解できます。その意味では,新規格への移行はある種の必然とも言えるでしょう。

しかしながら,需要側の視点に立ったとき,果たしてこの新しい原付が従来と同じ役割を担えるのかという点には疑問が残ります。価格が倍近くに上昇することで,これまで「手軽な足」として原付を利用してきた層が離れてしまう可能性は否定できません。

さらに,安全性の観点からも気になる点があります。新規格原付は,スピードこそ抑えられているものの,車体重量は従来の50ccバイクよりも大きくなっています。原付は普通自動車免許で運転できる手軽さが魅力でしたが,教習所で二輪の操作を体系的に学んでいない人が,従来より一回り大きい車体を扱うことに対して,一抹の不安を感じるのはワタシだけではないはずです。「速度が出ないから安全」と単純に言い切ることには,やや慎重であるべきではないでしょうか。

このように,新規格原付は制度的にはつじつまが合っているようではあるものの,一方で,現場での実感とは必ずしも一致していないように思われます。行政の制度設計は,多くの利害や制約の中で最適解を探る営みですが,現場で実際に使われる段階で初めて見えてくる課題も少なくありません。

もっとも,行政書士であるワタシにできることは,目の前の依頼に誠実に向き合い,適正に登録手続きを進めることに尽きます。しかしながら,日々の業務の中でこうした制度と実務の接点に立ち会えることは,単なる手続き代行にとどまらない学びを与えてくれます。

新規格原付が今後どのように市場に受け入れられていくのか,あるいは新たな課題を生むのか。現場の一端に関わる者として,引き続き注視していきたいと思います。

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