米騒動の記憶――共通一次試験が教えてくれた平常心
■入試シーズンの始まりに思うこと
昨日から,いわゆる「センター試験」,「大学入学共通テスト」が始まりました。近年は推薦入試や総合型選抜が増え,一般入試を経て大学に進学する人は減少傾向にあるようです。それでも,多くの受験生が,この試験に挑み,合格を目指していることに変わりはありません。
この試験を皮切りに,私立大学の入試が本格化し,二月末には国公立大学の入試が行われます。受験生の皆さんには,これまで積み重ねてきた努力が実を結ぶことを,心から願っています。
■三度受けた共通一次試験
この季節になると,ワタシ自身の大学受験の記憶が,次々によみがえってきます。
ワタシは高校時代,勉強よりも好きなことに夢中になりすぎた結果、大学生になるまで、普通の人より少し時間がかかりました。そのため,共通一次試験を三回も受けることになり,この試験には人一倍の思い出があります。
当時,国公立大学に進学するためには,共通一次試験を受け,その得点をもとに二次試験の受験校を決めるのが一般的でした。国公立大学は原則として一校しか出願できず,共通一次の点数が,事実上,進路を決めてしまう,非常にプレッシャーの大きい試験でした。
■5教科7科目の重圧
試験は5教科7科目,英語・国語・数学に加え,理科と社会をそれぞれ2科目ずつ受験する,1000点満点のヘビーな内容でした。
そして,ワタシにとって三回目の挑戦となった昭和59年度の共通一次試験で珍事件が起こりました。
■数学のマークシートに潜む落とし穴
共通一次試験は,すべてがマークシート方式で行われます。数学も例外ではなく,正解が「123」であれば,①②③と順に塗りつぶします。
ただし,数学には例外的なルールがありました。正解がマーク欄の桁数を超える場合,最後の桁に数字ではなく「*(アスタリスク)」を塗りつぶす,というものです。
ところが,過去問や模擬試験で「*」が正解になることはほとんどなく,「正解に*は使わない」というのが,受験生の間では常識となっていました。
■突然起きた「米騒動」
ところが,昭和59年度の試験では,計算すると答えが桁数を超え,「*」を使わざるを得ない問題が次々と出てきたのです。
ワタシは強い戸惑いを覚えましたし,試験会場全体にも,言葉にできないざわめきが広がっていました。数学は得意科目で,高得点を狙っていたワタシでしたが,何度計算しても答えは同じ。それでも,「本当にこれでいいのか」という不安が拭えず,心は大きく揺さぶられました。試験終了後,仲間同士で恐る恐る答え合わせをすると,皆が同じ答えにたどり着いていました。結果として成績は普段と大きく変わらなかったものの,あのときの動揺は,今でも鮮明に覚えています。
「*」が「米」に似ていることから,この出来事は,受験生の間で「米騒動」と呼ばれていました。
■青春時代に学んだ二つのこと
この経験から,ワタシが学んだのは,「確かな実力」と「平常心」の大切さです。
想定外の出来事が起きたとき,実力があっても,心が乱れれば,本来の力は簡単に揺らいでしまいます。結果として大きな失敗にはなりませんでしたが,平常心を保てなかったことは,青春時代のほろ苦い思い出として残っています。
■行政書士として,あの経験をどう活かすか
そして今,ワタシは行政書士として,お客さまの困りごとや悩みに向き合っています。制度の変更や予期せぬトラブルなど,「想定外」は,現実の仕事の場でも突然訪れます。
そんなときこそ,周囲に流されることなく,事実を冷静に整理し,落ち着いて判断する姿勢が求められるのだと思います。ワタシは,あの「米騒動」で味わった動揺を忘れず,いかなる場面でも平常心を失わずに,お客さまにとって最善の道を示せる行政書士でありたいと考えています。
「米騒動」は,ワタシにとって単なる受験の思い出ではありません。
それは今もなお,仕事に向き合う姿勢を正してくれる,大切な原点の一つなのです。

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