公務員でも「クビ」になる時代に思うこと
先日,インターネットを眺めていたところ,奈良県五條市の職員が,地方公務員法に基づく「分限免職処分」を受けたという報道を目にしました。
報道では,「身分が安定しているはずの公務員でも“クビ”になることがある」という,やや驚きをもって伝えられていたように感じました。
もっとも,国家公務員・地方公務員いずれについても,能力不足などを理由として免職(=クビ)が可能であることは,法令に定めがあるところです。現実に,公務員は犯罪を犯した場合などの懲戒処分以外でもクビになることがあるのです。
法令上の根拠を見てみましょう。
まず,国家公務員については,国家公務員法第78条において,次のような場合に免職ができると定められています。
- 勤務実績が良くない場合
- 心身の故障のため,職務の遂行に支障があり,又はこれに堪えられない場合
- その他その官職に必要な適格性を欠く場合
- 職制その他の人員に関する事情により,過員を生じた場合
同様の規定は,地方公務員法にも設けられています。
地方公務員法第28条第1項では,職員に対し,任命権者は分限によって免職,降任,休職または降給の処分をすることができるとされています。その具体的理由は国家公務員と全く同じ4つの理由が定められています。
公務員は倒産しない,身分が強く保障されている――そんなイメージを持たれがちですが,実際には,身分も無条件で守られているわけではないのだと,改めて感じます。(もっとも,やみくもに使われる処分ではなく,実務上は、長期間の勤務不良や度重なる指導にも改善が見られない場合など、かなり限定的なケースで用いられています)。
「きちんと働く」ことが雇用の前提であるという意味では,公務員でも,民間企業と大きな違いはありません。まあ,考えてみれば当たり前のことなのですが,法律を読み返してみると,いろいろな規定が用意されているものだと感心しました。
もっとも,「民間企業は倒産することもあるけど,公務員には倒産がない」という議論もあります。確かに多くの場合はそうでしょう。しかし,かつて夕張市が財政再建団体に転落したという,事実上の“自治体破綻”の例もあります。これからの時代,公務員という職業も,「絶対に安定していて,倒産もなく,クビにもならない仕事」と言い切ることは,難しいのかもしれません。
ここからは,この話題と行政書士との関わりについて,少し触れてみたいと思います。国家公務員・地方公務員を問わず,分限免職処分は行政処分に該当します。そのため,処分に不服がある場合には,「不服申立て」を行うことができます。
特定行政書士は,これらの不服申立てについて代理人となることが可能です(もちろん,行政訴訟における代理人になることはできません)。
なお,不服申立ての手続きは,国家公務員と地方公務員とで少し異なります。
国家公務員の場合,審査請求の相手方は人事院となりますが,地方公務員の場合は,任命権者の属する地方公共団体の長などに対して不服申立てを行うことになります。
また,その後の行政訴訟についても違いがあります。
国家公務員の場合は,原則として人事院による審査を経なければ,行政事件訴訟法上の取消訴訟を提起することはできません。
これに対し,地方公務員については,行政事件訴訟法第8条ただし書により,審査請求前置主義の例外が認められており,審査請求を経ずに直接,取消訴訟を提起することも可能とされています。
もっとも,日々職務に忠実に,きちんと働いていれば,このような問題に直面することは通常ないのだと思います。
公務員であれ,民間企業のサラリーマンであれ,目の前の仕事に誠実に向き合うことが何より大切なのだと,改めて感じました。
――あくまで,ワタシ個人の意見ですが。

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