「錧」に学ぶ,目立たない支えの大切さ
仕事で,何人かの方の住所と名前を住所録に入力しているときのことです。ふと,見慣れない漢字に目が止まりました。「金へんに官」。……コレ,なんて読むんだ?
「かん」かな? いや,「かな」かもしれない。そんなふうに頭の中で漢字パズルが始まります。
調べてみると,正解は「錧(かん)」。初めて見る方も多いのではないでしょうか。漢検のテキストでも開かない限り,まずお目にかからない漢字だと思います。
この「錧」という字,実は車輪の中心を覆う金具や,鋤(すき)など農具の一部を指す言葉だそうです。さらには,古い製鉄の道具である「たたら」を意味することもあるとのこと。用途はさまざまですが,どれも“中心部を守り支える金属”というイメージでつながっています。
漢字の成り立ちを見てみると,「金へん」は金属,「官」は役所というより“中枢”“中心構造”を表す部首的役割を持つそうです。つまり「錧」とは,金属でできた中心部分の構造物というわけです。
昔の車輪や農具を思い浮かべると,なるほどと腑に落ちます。目立たないけれど,全体を支える大切なパーツ。主役ではないけれど,そこがなければ動かない――そんな存在です。
また,この字には「きせがね」という読みもあります。刀の鍔(つば)に添える金具や,柱を補強する金物など,外からは見えにくくても,実は要となっている存在を指すそうです。
こういう熟字訓や当て字の世界をたどるのは,まるで言葉の宝探しのようです。漢字の成り立ちを調べるだけで,昔の人々の暮らしぶりや価値観まで見えてくる。クイズ好きのワタシとしては,こうした発見にちょっと感動してしまいました。いやあ,漢字ってスゴイ。
そしてふと,この「錧」という漢字と,行政書士としての自分の役割が重なって見えてきました。
ワタシが日々向き合うのは,制度の隙間にいたり,行政の支援を必要としていたりする方々です。派手さはありませんが,確かに必要とされる支援。暮らしの中で静かに働き,誰かの前にそっと添えられる金具のように,目立たないけれど欠かせない存在でありたい…。
難読漢字との偶然の出会いが,そんな思いを改めて抱かせてくれました。
気づけば,「錧」はワタシにとって,少し特別な漢字になりました。

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