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深夜3時の首相出勤に思う――変わらぬ国会と官僚の関係

高市首相が夜中の3時に出勤した――そんなニュースが話題になりました。

「非常識だ」「官僚を巻き込むな」という批判が一斉に上がりましたが,後に事情が明らかになります。

原因は,国会で質問する議員が質問内容の通告を期限ぎりぎり,あるいは遅れて提出していたことにありました。しかも遅れたのが特定の政党に偏っていたこともあり,今度は逆に「期限を守らない政党こそ問題だ」と批判の矛先が移ったのです。

お役所というのは,基本的には一秒でも期限を過ぎれば受け付けてくれないほど厳格な機関です。であれば,国会も質問通告期限を守らない議員については,質問権を剥奪するくらいの厳しさを持ってもいいのでは――ワタシはそう思ってしまいます。

しかし,「言論の府」である国会は,そうしたお行儀の悪い,機械的な対応をあまり好まないようです。

ワタシは30年ほど前,経済企画庁(当時)に2年間出向し仕事をしたことがあります。上司から「霞が関の役所は忙しいぞ」と念を押され,覚悟を決めて赴任しましたが,その言葉に偽りはありませんでした。仕事は山のようにあり,毎日が夜遅くまでの勤務で,特に国会開催中は過酷でした。

理由は「質問通告待ち」です。国会が開かれている間,各執務室には「国会待機」と書かれた赤いランプが点灯し,全ての質問通告が確認されるまで,職員は帰宅できません。各課には「国会当番」という待機当番がおり,週に一度は当番が回ってきて,その日は「どうか質問が来ませんように」と祈りながら待機していたのを覚えています。

質問が来ると,担当者が回答案を作成し,課長補佐,課長へとチェックが回ります。

もし質問の宛先が経済企画庁長官であれば,それで作業は完了。だいたい夜10時ごろには終わります。しかし,相手が内閣総理大臣の場合はさらに大変です。

総理の答弁は「内閣としての見解」になるため,関係省庁の意見をすべて調整しなければなりません。財務省,経産省など,立場も利害も異なる各省庁の間で意見をまとめる作業は,時間がかかり、日付をまたぐことも珍しくありません。ワタシも何度か経験しましたが,体に堪える仕事でした。「2年間の出向だけはなんとか頑張ろう」と心に決めてやり遂げましたが,「これを一生続けるのは厳しい」と感じたのを今も覚えています。

今回のニュースを聞いて,30年前と国会と官庁の関係はあまり変わっていないのだと驚きました。日本の中央官庁の職員は,まじめで優秀で,本当に一生懸命働いています。しかし,深夜にまで及ぶ長時間労働が常態化しているのは,決して健全な姿とは言えません。

今は,当時とは比べものにならないほど情報伝達の手段も進化しています。

デジタル化が進んだ現代だからこそ,質問通告や調整の仕組みももっと効率的にできるはずです。

議員も内閣も,お互いに納得でき,職員の生活にも配慮した“新しい国会運営の形”を考える時期に来ているのではないか。ワタシはそう感じています。

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