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「幻の日本酒」が“定番”になった日~越乃寒梅と八海山,そして人生の定番買い~

近所のスーパーで,ふと目にとまった棚に「越乃寒梅」と「八海山」が並んでいました。このスーパーは酒の品揃えが豊富で,しかも良心的な価格で販売してくれるのがありがたいところです。4合瓶がそれぞれおよそ千円。思わず手に取り,その日の夜にさっそく味わいました。

これらの銘柄,ワタシが社会人デビューした平成の初期には「幻の酒」と呼ばれていました。東京や仙台ではもちろん,地元の新潟でも簡単には手に入らず,定価の何倍もの値がついていた時代です。
越乃寒梅や八海山といえば,いわゆる「淡麗辛口」ブームの象徴。スッキリしていて飲み飽きない,雑味のない酒質が人気を呼び,「水のように飲める」と評されたことが,今では懐かしく思い出されます。

その後,日本酒の世界は大きく様変わりしました。各地の小さな蔵元が独自の発想で「新しい日本酒」を次々と世に送り出すようになり,果実のような香りや濃厚な味わいをもつ,個性派の酒が次々に登場しました。たとえば秋田の新政酒造が出す「No.6(ナンバーシックス)」という銘柄は,まるでオレンジジュースのようだと評されるほどフルーティー。こうした流れの中で,日本酒の多様性が一気に広がったのです。

その結果,かつては「幻」だった新潟の酒も,今では手頃な価格で気軽に楽しめるようになりました。それは決して味が落ちたからではなく,日本酒の世界が成熟し,健全な市場に戻ったということだと思います。時代が巡っても,越乃寒梅も八海山も,やはり丁寧に造られた“良い酒”であることに変わりはありません。

こうして,あのころ憧れた酒を,今は自分の晩酌として楽しめる。それは少し誇らしく,そしてしみじみ幸せなことです。

世の中には流行があり,ブームがあり,好みも変わります。それでも,どんな時代になっても「良いものは良い」。ワタシはこれからも,そんな“自分の定番”を大切にしていきたいと思います。

越乃寒梅を片手に,人生もまた“定番買い”でいこう。派手ではなくても,じんわりと自分に合った,心に染みる味わいを,ゆっくりと楽しみたいと思います。

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