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自衛隊出動で本当に熊を止められるのか――県民を守る“覚悟”を問う

全国で相次ぐ「熊騒動」。
とりわけ東北では,もはや山間部だけでなく市街地にまで熊が出没する――異常事態,いや緊急事態が続いています。

ワタシもここ数回,このブログで熊問題について書いてきましたが,もはや他人事ではありません。身近に迫る恐怖を,今まさに肌で感じています。

昨年11月,秋田市で熊が立てこもったスーパーがありました。あの店は,ワタシが秋田に単身赴任していたとき,ほぼ毎日のように通っていた場所です。そのすぐ隣は警察署ですが,熊にとっては「お構いなし」だったようです。
さらに,近くにはワタシが勤務していた火力発電所があり,隣接する防砂林は警戒パトロールで歩き慣れたコースでした。
あのとき熊と出会っていたかもしれない――そう思うと,今でも背筋が冷たくなります。

盛岡市の中心部でも熊が出没しました。県庁や市役所が立ち並ぶエリアで,銀行本店の駐車場にまで入り込んだというのです。ニュース映像には,ワタシが新入社員時代に勤めた事業所が映っていました。あの街なかに熊が現れる――信じがたい光景でした。

そして何より恐ろしいのは,ワタシの今の住居の近くでも熊の目撃情報が相次いでいることです。自宅から1キロ足らずの複数の場所で出没し,犬の散歩で使っていた雑木林には,今は怖くて足を踏み入れられません。庭に犬を放すだけでも,どこか落ち着かない気持ちになります。

今年1月から現在にかけて,熊による犠牲者は全国で12名。秋田県だけで3名が命を落としました。
ついに秋田県は自衛隊に出動を要請し,熊被害への対応を始めています。

しかし,自衛隊員は狩猟の訓練を受けているわけではなく,自衛隊法上,熊対応で銃を携行することもできません。実際の任務は罠の設置や,駆除後の熊の搬出など,いわば後方支援にとどまるとのこと。
それを聞いて,ワタシは率直に「熊相手に丸腰で大丈夫なのか」と思いました。熊と遭遇したら,素手で太刀打ちできるはずがありません。
自衛隊員だって人間です。命を懸けて現場に立つ以上,自らの身を守る最低限の装備が必要ではないでしょうか。
一体,自衛隊員を何だと思っているのか」――そんな憤りすら覚えました。

今回の出動要請を見ていると,どうも「とにかく動いてもらえば安心」という,やや場当たり的な印象が拭えません。
熊の行動パターンも,生息地の変化も十分に把握されていない中で,やみくもに「なんとかしてほしい」と自衛隊に頼むだけでは,根本的な解決にはならないと思うのです。

熊が人里に降りてくるのには理由があります。餌不足や気候変動,山林の荒廃など,背景には複雑な要因があるはずです。
だからこそ必要なのは,熊の生態を踏まえた科学的な分析と,地域の実情に合った総合的な対策です。
自衛隊に頼む前に,まず「なぜ熊が人の生活圏にまで来るのか」を真剣に見つめ直すことが,行政の責任ではないでしょうか。

もちろん,現時点で「完璧な打ち手」は誰にも見えていないのかもしれません。けれども,だからこそ場当たりではない,「知恵を出し合い,スピード感を持って実効性のある策を練る」姿勢こそが求められています。

自衛隊の出動を要請するほどの事態であるならば,なおさら,その“覚悟”を伴った効果的な対応を望みたい――。
それが,熊の恐怖に怯える一県民としての,ワタシの切実な願いです。

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