「熊出没注意」~恐怖が現実となった日々~
ワタシは一か月ほど前,自宅近くで,「熊が出るかもしれない」という話を書きました。
熊と人間 ― 共存のためにできること | あいはら行政書士事務所
そのときは,どこか他人事のような気持ちもありましたが,今やその危惧は現実のものになりつつあります。
人間は食物連鎖の頂点に立っている――そう言われます。
しかし,それは「英知」と「武器」という文明の力を手にした場合の話です。
もし丸腰で自然界に放り出されたら,熊のような猛獣の前ではまったくの無力です。
つまり,こういう構図になります。
人間(猟銃所持)>熊>人間(丸腰)
ワタシは一応,文明社会の人間として生まれてきたつもりなので,自然界の掟に従って熊の餌食になることなど予定していません。
……ないのですが,最近はその「予定外」が,妙に現実味を帯びてきています。
考えれば考えるほど恐ろしく,冗談では済まされません。
ワタシの住む八木山地区は,仙台市の南西部にあり,自然豊かな青葉山に接しています。その麓を流れるのは清流・広瀬川。街の中心部に行くには,この青葉山を越えるルートを通ります。
昔から道路には「熊注意」の看板はありましたが,それは“あくまで注意”レベルで,実際に出るのは10年に一度あるかどうか、ほとんど聞いたことのない話でした。
ところが、どういうわけか、今年の秋は仙台で「熊出没」のニュースが頻繁に報じられています。
2日ほど前には,仙台駅からわずか1キロの住宅地で熊が目撃されました。さらに,そこからほど近い広瀬川の河川敷では,5頭の熊が同時に確認されました。このニュースを聞いたとき,「熊への遭遇」がグッと現実味を帯びたと感じました。
広瀬川の上流はワタシの家の近く,青葉山の雑木林へとつながっています。
ツキノワグマの行動範囲は25~140平方キロメートル,一日の移動距離はオスで70キロ,メスで40キロといわれます。つまり,広瀬川で目撃された,あの熊たちが青葉山に来ていても,まったく不思議はないのです。
熊が出没するなんて,「マタギ」で有名な秋田や青森の山間部の話だと思っていたワタシにとって,この状況は本当に深刻で衝撃を受けています。
現在,実生活で一番困っているのは犬の散歩です。以前は,空いている時間に近くの林をのんびり歩いていたのですが,今は,杞憂とは知りつつも,念のため近づかないようにしています。熊は早朝と日暮れ時に出没するとの話があるので,その時間帯は避け,なるべく日中の明るい時間に出かけるようにしています。また,通常も,たとえ,近所のスーパーに行くときでも,極力,車での外出を心がけています。現実に可能性を考えるのならば,ワタシの家周辺で熊に遭遇することはないのでしょうが,僅かでも可能性があると思うと恐ろしくて仕方ないというのが実際のところです(昔から,夜に庭をハクビシンが走り回っているのは何度か目撃しています)。
何より困るのは,具体的な「打ち手」が見当たらないことです。我々丸腰の人間にできるのは,ただ熊に遭遇しないよう祈ることという状況。手も足も出ません。
行政の対応を待つしかないという,なんとも心細い現実ですが,おそらく,行政機関としても「打つ手がない」というのが現実だと思います。
自然と共に生きる――美しい響きの言葉ですが,「熊と共に生きる」ことはできません。
一日も早く,「熊注意」の看板が,再び“ただの注意”で済む日常に戻ってほしいと願うばかりです

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