東京の休日,仙台の暮らし
日曜日まで続いた海事代理士関係の行事が一区切りし,昨日は思い切って一日お休みにして,東京の休日を楽しみました。学生時代の4年間,そして経済企画庁に勤務していた2年間を東京で過ごしたワタシにとって,東京は青春の匂いと新婚時代の思い出が重なる,少し特別な街です。学生時代は文字通り自由で伸びやかな時間を過ごし,経済企画庁時代は日々激務の連続ながらも,結婚したばかりの夫婦で時間を見つけてはあちこちへ出かけたことを,今でも鮮やかに思い出します。
昨日はそんな記憶をたどりながら,行きたかった場所に足を運び,懐かしい東京の味を堪能しました。東京はやはり素晴らしい街です。老若男女を問わず楽しめる施設が並び,欲しいものがすぐ手に入り,公共交通機関だけで暮らしが完結します。ワタシは子どもの頃から東京に憧れ,学生時代は存分に街を味わい,新婚期も忙しい中で小さな幸せを積み重ねました。ただ一方で,東京は懐に厳しい街でもあります。都内のマンション価格は高止まりし,ワタシが就職したバブル期には,都心から二時間前後の遠距離通勤が当たり前という空気もありました。長い通勤と高い住居費は,当時のワタシには現実的ではありませんでした。
そこで,生まれ育った仙台で就職する決断をしました。結果として,この選択はワタシの働き方と暮らしの質を安定させてくれたように思います。幸い,街中にもほど近い場所に住まいを得て,サラリーマン時代にも通勤ラッシュとは無縁の生活ができました。仙台は東京ほどの大都会ではありませんが,生活の快適さと都市的な利便性のバランスがよく,街暮らしを楽しむには十二分です。ネットや通販の普及で欲しいものはすぐ届き,どうしても東京の空気が吸いたくなれば,新幹線に飛び乗って約二時間で行き来できます。交通費はかかりますが,日々のストレス軽減や時間価値を考えれば,十分に「元の取れる」投資だと感じています。
こうして東京と仙台,いずれの良さも取り入れながら暮らすことが,ワタシにとってのワークライフバランスの核になりました。平日は仙台で落ち着いて業務を進め,週末や必要な折には東京で刺激を受ける。都市のスピード感と地方の余白,それぞれの呼吸に合わせて自分の歩幅を整えると,心の疲れが早くほどけていきます。働く時間と休む時間,移動の密度と生活の密度,その配分を自分で設計できることが,何よりの贅沢だと実感します。
都会か田舎かという二択ではなく,都会“も”田舎“も”の発想で働き,暮らす。ワタシにとってそれは,長い通勤に時間を奪われないこと,必要なときに必要な場所へ機動的に動けること,そして学び続ける余白を生活に確保することでした。仕事の質と生活の質は,どちらかを削ってもう一方を支える関係ではありません。両方を底上げする配分が見つかったとき,はじめて持続可能な働き方になります。東京で心を弾ませ,仙台で心を整える——この往復が,ワタシの幸せのかたちです。

コメントを残す