明日は海事代理士試験 ― 少数精鋭の挑戦者たちに向けてのエール
明日9月25日,令和7年度の海事代理士試験・筆記試験(一次試験)が全国で実施されます。受験生の皆さんがこれまで積み重ねてきた努力を存分に発揮されることを,心からお祈りいたします。
海事代理士とは,国土交通省や都道府県などの行政機関に対して,船舶の登記や登録,各種検査の申請,船員に関する労務手続,小型船舶免許の更新など,海事分野の申請・届出・登記その他の手続と,その書類作成を業とする国家資格です。いわば「海の行政書士」「海の司法書士」と言われる専門職で,独占業務があり,職務上請求が可能な「八士業」の一つに数えられています。海に囲まれた日本において,官庁手続から現場に近いサポートまで担う実務性の高い資格です。
海事代理士試験は,全国の出願者が600名弱,実際に受験するのは全国で500名弱という小規模な資格試験です。そのため会場は大学や大きなホール等ではなく,各地の地方運輸局などで行われます。
さらにこの試験は,多くの資格試験のように休日開催ではなく,平日に実施されます。ですから,仕事や学校を休んで臨む方も多いのではないでしょうか。ワタシが受験したのは仙台市の東北運輸局でした。受験者は20名弱ほどで,「受験生,これしかいないの?」と少し拍子抜けしたのを覚えています。しかも隣の部屋では職員の方が通常業務をしており,試験特有の「戦闘開始!」という雰囲気が感じられず,なんとなくのんびりしたムードで,最初は戸惑いました。
海事代理士試験は受験生が少なく,予備校の講座や参考書も非常に限られています。そのため,受験生の皆さんは情報収集や試験対策に苦労されたことと思います。それだけに,ここまでたどり着かれた努力そのものが大きな力です。
試験は十分な解答時間が用意されています。焦らずに平常心を保ち,これまで培ってきた知識を信じて臨んでください。時間が余ったら入念に解答を見直すのもよし,早めに退出して次の試験の確認をするのもよし,時間を有効に使って下さい。
一般的な資格試験では,試験日の夜,すぐに予備校が「解答速報」を出し、受験生は一喜一憂するのですが,海事代理士試験にはそうしたお祭りムードはありません。全日程終了後に公式の正解集が配布され,それを自宅で自己採点する形になります。
筆記試験の合格基準は,少し特殊で,受験生全体の平均正答率が60%未満のときは「60%以上(144点以上)」で合格という絶対評価の試験なのですが,平均が60%を超えた場合は,その平均以上が合格基準となるという相対評価的部分もあります。いずれ,例年の筆記試験合格率はおよそ50%程度です。自己採点で合格の可能性が見えた方は,少し休んだら口述試験(二次試験)の準備に入るのがよいでしょう。
皆さんがここまで積みかさねてきた努力の日々は,すでに皆さんを大きく成長させています。合否の結果にかかわらず,その学びは必ず今後の糧となり,人生や仕事の中で生きてきます。今日まで歩んできた努力を信じ,自信を持って試験に臨んでください。
明日の挑戦が皆さんにとって大きな一歩となり,やがて海事代理士として,あるいは専門職として活躍する未来につながることを,心から願っています。

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