墓参りに込める二つの思い
昨日は彼岸の入りでした。ワタシは早速,私の父が眠るお墓と,妻の母が眠る妻方のお墓へお参りに行ってきました。妻方のお墓があるお寺には,妻の叔父や叔母が眠る永代供養塔もあり,そちらにも足を運びました。墓石を丁寧に清め,花を手向け,線香を焚いて静かに手を合わせる時間は,心が穏やかになるひとときです。
春と秋のお彼岸,そして夏のお盆。日本には季節ごとにお墓参りをする習慣があります。ご先祖様を偲び,感謝の気持ちを伝えるこの風習は,他国にもあるのかは分かりませんが,ワタシ個人としてはとても素晴らしい文化だと感じています。亡き人とのつながりを大切にすることで,自分自身の生き方も見つめ直すことができるからです。
今回のお墓参りには,もう一つ大切な意味がありました。実は,このお寺の永代供養塔には,ワタシが日頃お手伝いしている「おひとりさま」女性のご主人が眠っておられます。ですので,永代供養塔を訪れる際には,その方の代理としてご主人のお参りも欠かさず行っています。
ワタシがこの方の生活のお手伝いを始めたのは,ご主人が急逝された直後のことでした。ご遺骨は一時的にご親族のもとで安置されていましたが,本人の希望により,ワタシが納骨先を探し,お寺と永代供養の契約を結びました。納骨式にはお体の不自由なご本人は出席できなかったため,ワタシが日程の調整から親族への連絡,故人を偲ぶ食事会まで,すべてを主宰し,執り行いました。行政書士というと「書類や手続きの専門家」というイメージが強いかもしれませんが,相続や供養に関わる場面では,契約や事務だけでなく,ご家族に代わって段取りを整える役割も担うことがあるのです。
偶然にも,妻の実家のお寺と同じ場所だったこともあり,季節ごとのお墓参りもワタシが代理で行っています。特別な時間や手間がかかるわけではないので,基本的にはボランティアとして行っていますが,ご本人の希望でお花を供える場合には,お花代のみ実費でいただいています。
このお手伝いは,あくまで「たまたま同じお寺だったから」という軽い気持ちで始めたものでしたが,ご本人には大変喜んでいただいています。今後,同じような状況の方を支援する機会があれば,さすがに無償というわけにはいかないかもしれませんが,できる限りご負担にならない形で,お役に立てる方法を考えていきたいと思っています。
せっかく仕事をする訳ですから,ワタシは,できればお客さまに喜んでいただけるような仕事をしたいといつも思っています。ご先祖や大切な方に手を合わせる墓参りと同じように,相手の気持ちに静かに寄り添い,安心をお届けすることができれば,それはワタシにとって何よりのやりがいです。行政書士としての役目は書類の作成や手続きにとどまらず,人の心に寄り添いながら生活を支えることにもつながっている――そう信じて,これからも一つひとつの仕事を丁寧に続けていきたいと思います。

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