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熊と人間 ― 共存のためにできること

今年は,熊による人身被害が全国各地で多発しています。青森や秋田では,命を落とす痛ましい事件も起こっており,ニュースを見るたびに胸が痛みます。原因としては,山の中で熊が餌とするどんぐりが不作だったこと,人間の食べ物の味を覚えた熊が人里に降りてくるようになったことなど,さまざまな説が語られています。

熊への対応についても意見が分かれています。「熊を殺すな」という声もありますが,現実はそう簡単ではありません。数ヶ月前,秋田で熊がスーパーに立てこもった事件がありました。そのスーパーは,ワタシが秋田に単身赴任していた頃,よく利用していたお店です。周囲には人家も多く,このお店の隣は警察署です。決して山奥ではない普通の街まで熊が出てきたという話なのです。そんな場所に熊が現れたことに驚きましたが,熊にとっては「そこに餌がある」から来たのでしょう。

熊の出没は,ワタシの住む仙台市太白区八木山地区でも他人事ではありません。近くの青葉山の麓,川内周辺でも熊の目撃情報があり,危機感を覚えています。八木山は青葉城に隣接する自然豊かな地域で,野生のハクビシンが庭に現れたこともありますし,近所の八木山動物公園からチンパンジーが逃げ出し,住民に外出自粛の呼びかけが出たこともありました。動物とは何かと縁のある住宅街なのです。

そんな環境だからこそ,「熊がいてもおかしくない」と皆が認識してはいるものの,ここ数年は人里近くでの目撃が増えています。ワタシの家から青葉山を通って仙台の街中へ向かう道は,約5キロほどの距離で,以前は運動がてら歩くこともあったのですが,今は熊の危険があるため,徒歩での移動は控えています。

「なぜ熊を殺すのか」と問う人は,きっと心の優しい方なのでしょう。「熊と人間は共存できる」と信じているのかもしれません。しかし,現実は厳しいものです。野生の世界において,素手の人間は熊に到底太刀打ちできません。食物連鎖の上位にいるのは,間違いなく熊なのです。言葉が通じない以上,話し合いで解決することはできません。人間に襲いかかってくる熊に対しては,やむを得ず人間の英知で作った武器で対処するしかないのです。

とはいえ,むやみに熊を殺すべきではありません。人間にもできることはあります。たとえば,山の周辺に食べ物を放置しないこと。野生動物に餌を与えないこと。熊の出没が予想される山には安易に立ち入らないこと。移動には車を使うなど,身を守る工夫も必要です。

共存の道を模索するならば,地域ぐるみの取り組みも必要です。たとえば,電気柵の整備やゴミ管理の徹底,通学路の安全確保など,行政と住民が協力して人間の生活圏を守る仕組みを整えることが求められます。また,熊が山の中で十分に食べられるよう,植林やドングリの供給を行う試みも検討に値するでしょう。

結局のところ,熊と人間は交われません。言葉が通じない以上,素手の人間が遭遇すれば命を落とす可能性が高いのです。だからこそ,熊を無闇に殺すのではなく,人里に出てきた熊に対しては,やむを得ず駆除するという選択をせざるを得ない場面もあります。

共存のためには,熊を遠ざける知恵と,自然との距離感を見直す冷静さが必要です。熊は恐ろしい猛獣です。だからこそ,熊を近づけず,熊に近寄らないようにするしかないのです。

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