書籍削減から始まるデジタル化の一歩
以前,ワタシは仕事の一環で公営住宅の退去と家財道具の撤去のお仕事を請け負いました。依頼人は,長期入院中のご主人。その奥様が亡くなり,住む人がいなくなったために退去の手続きが必要になったのです。
手続き自体は役所に退去届を出せば済みます。しかし実際には,それまで住んでいたアパートに残された家財道具を撤去し,破損箇所を補修し,原状回復した上で役所に引き渡さなければなりません。アパートの鍵を受け取り,部屋に入ると3DKの空間は荷物でぎっしり。専門業者を手配して仕分けし,不要品はすべて廃棄しましたが,作業完了までに丸3日を要しました。もちろん費用も相当な額にのぼり,大仕事を終えたときには達成感と同時にどっと疲れが押し寄せてきました。
大量の荷物が運び出されていく様子を眺めながら,ふとこれは子どものいない「おふたり様」であるワタシ夫婦の未来の姿ではないかと思い,強い衝撃を受けました。自分の将来を見せられたようで,「今から準備しておかねば」と深く心に刻み込まれました。
多くの人がそうであるように,ワタシも「モノを捨てられない人間」です。夫婦二人の割には広い家は,物であふれ返り,空き部屋すらない状態です。「このままではいけない」と思いながら,どこから手をつければいいのかわからない。これまでもそのような堂々巡りをしていたように思います。今回の経験をきっかけに,妻と相談し,5年ほどかけて少しずつ不要品を整理していこうと決めました。
まず着手したのが書籍の削減です。本というのは単なる紙の束にすぎないのですが,手に取ると数々の思い出がよみがえり,なかなか手放せません。「あのとき夢中になった本」「恩師からいただいた本」など,どれもが人生の一部のように思えるからです。
悩んだ末に方針を定めました。
- 業務に使う実用書や現在も必要な本は残す。
- ここ数年使っていない本の中でどうしても捨てられないと感じるものは,全体の一割までに絞る。
- 今は使わないけれど「惜しい」と感じる本はスキャンして電子化する。
- ここ数年手に取っていない本,文庫本は思い切って破棄する。
そう考えると,希少本を除けば必要になったときに再購入すればよいのですし,電子化すれば持ち運びも便利です。特に子どもの頃から集めていたマンガは,スキャンして電子本にした方が生活空間を圧迫せず,むしろ使い勝手が良いことに気づきました。
そのために新しく購入したのがドキュメントスキャナです。200ページの本を2分ほどでPDF化してくれる優れモノで,現在少しずつ作業を進めています。実際に使ってみると想像以上に快適で,「なぜもっと早く導入しなかったのだろう」と思ってしまいます。
そしてこのデジタル化の流れは,家庭の本棚にとどまりません。ワタシが営む「あいはら行政書士事務所」においても,業務書類の電子化やペーパーレス化に大いに役立つと確信しています。書籍削減から始まった取り組みが,オフィスの効率化や業務改善につながっていく。まさに小さな整理整頓の一歩が,未来への大きな一歩につながるのだと実感しています。
ワタシはこれからも,暮らしと仕事の両面で「減らす」「整理する」「デジタル化する」という実践を積み重ね,すっきりとしたビジネスライフを歩んでいきたいと思います。

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