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2025年10月1日から公正証書の作成手続きがデジタル化されます!

公正証書とは,公証人が当事者の依頼を受けて作成する法的効力の高い文書です。契約や遺言,金銭消費貸借契約などに広く使われ,将来のトラブル予防に役立ちます。これまでは,公証役場に出向き,対面で面談を行い,署名や押印をして紙で受け取るのが基本でした。

令和7年(2025年)10月1日から,この手続きが大きく変わります。従来の「対面・紙中心」から「オンライン・電子データ活用」へと移行する新制度が始まるのです。

主な変更点は以下の通りです。

  • オンライン申請:公証役場に行かず,インターネット経由で申請・嘱託が可能に。
  • リモート面談:Web会議を使い,公証人が遠隔で意思確認を実施。
  • 電子署名:印鑑が不要になり,電子署名だけで手続き完結。
  • 受領方法の選択:完成した公正証書を電子データ,紙,USBメモリなどで受け取れる。
  • 手数料の変更:電子データは1通2,500円,紙書面は1枚300円に。

最大の利点は,公証役場に行かずに済むことです。高齢で外出が難しい方や,最寄りの役場まで何時間もかかる地方の方でも,自宅から手続きが可能になります。

また,移動や待ち時間が不要となり,平日に休みを取る必要も減ります。依頼を受ける士業にとっても,役場との往復がなくなり,業務の効率化につながります。

さらに,電子データでの保存により,紙の書類のように紛失や劣化の心配がなくなります。必要なときにすぐ複製でき,クラウドで共有すれば遠方の家族とも安全にやり取りが可能です。

制度が始まると,相続に関する公正証書の作成は大きく変わります。まずはインターネットを通じて申請を行い,必要な書類をアップロードして電子署名を付します。その後,必要に応じてWeb会議による意思確認が行われ,公証人が手続きを進めます。手続きが完了すると,公正証書は電子的に発行され,利用者はメールやクラウド,USB,あるいは従来の紙といった希望の方法で受け取ることができます。このように手続き全体がオンラインで完結するため,利便性が大幅に高まるのです。

なお,一部の手続きは法律上,紙での対応が必要です。また,ネット環境や電子署名の準備,本人確認(eKYC)が必須です。初めて利用する際は操作に戸惑うこともあるため,事前準備をしておくことが大切です。

今回のデジタル化は,公正証書をより身近で便利なものへと進化させる大きな一歩です。利用者には利便性を,士業には効率化をもたらしますが,そのためには電子化への理解と準備が欠かせません。2025年10月の施行に向け,今からしっかり備えていきたいと思います。

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