サンマの季節がやってきた
今年もサンマの水揚げが始まり,仙台の店頭にも「新サンマ」が並び始めました。
ここ数年は不漁が続き,やせた小ぶりのサンマばかりで,買ってきても「これが本当に秋の味覚の王様だったのだろうか」と少し寂しい思いをしていましたが,今年は久しぶりに丸々と太った,見るからに脂ののったサンマに出会うことができました。去年まで「もう立派なサンマを食べることはできないかもしれない」と思っていただけに,本当にうれしい気持ちです。しかも値段は一尾300円ほど。高値続きだった頃を思うと,この価格はごちそうを身近にしてくれるありがたい存在です。
せっかくの新サンマなので,家では炭火をおこして焼くことにしました。七輪に備長炭を入れ火を熾し,じっくりと「遠火の強火」で焼いていきます。じゅうじゅうと脂が落ち,時折炎が立ち上がるのをうまくかわしつつ,炭の赤々とした光に照らされながら,魚の表面が少しずつ黄金色に変わっていく。20代の頃から工夫を重ねてきた「サンマ焼きの技」が光ります。炭火の前に腰を下ろし,煙の香ばしい匂いを浴びながら焼き上がりを待つ,この時間も何とも贅沢です。
炭火の魅力は,遠赤外線の効果で,表面を香ばしく仕上げながら中をほっくりと焼き上げるところにあります。ガスや電気のロースターも便利ですが,どうしても少し湿っぽかったり,逆にパサついたりしがちです。その点,炭火は旨みを逃さず,香りも格別です。まさに,「火を扱うわずらわしさ」と引き換えに得られる,特別な味わいです。
焼き上がったサンマは,お皿にのせるとすぐに湯気が立ち上り,食欲を刺激します。頭と尾を外して中骨をスッと抜き,筒状にしてから少しずつ身を崩して大根おろしと一緒にいただきます。香ばしい皮,脂がのり旨みがあふれる身,ほんのり苦みのあるはらわた——この三つが口の中で合わさり,それを冷たいビールで流し込む瞬間は,至福のひとときで,「ああ今年も秋が巡ってきたな!」と実感します。
まだ残暑は厳しいですが,食卓にはサンマや果物など秋の気配が届き始めました。この秋も,季節の恵みを楽しみながら,また毎日,元気に働こうと思います。


“サンマの季節がやってきた” への2件のフィードバック
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いやぁ、これは300円出す価値があるサンマですね。お皿も素敵です。読んでいるそばからよだれが出てきます。日本酒にもぴったしですね。
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コメントありがとうございます。
ここ数年,小さく痩せたサンマであまり食べる気がしなかったのですが,今年のサンマはまるまると太り、本当に見事です。
秋の食卓が充実しますね。
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