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特定行政書士に「できる代理」と「できない代理」

ワタシは令和6年11月に特定行政書士として付記され,それ以来,特定行政書士としての業務を行っています。このため,行政書士として通常行える業務に加え,行政手続にかかる不服申立ての代理もできるようになりました。
しかし,「特定行政書士なら,どんな不服申立てでも代理できるのか?」といえば,そうではありません。法律上,特定行政書士が関与できる範囲は明確に限られています。そこで今日は「特定行政書士にできること・できないこと」を整理してみたいと思います。

1.特定行政書士に「できる代理」

特定行政書士とは,行政書士のうち 「行政書士法第1条の3第1項の業務に加えて,行政庁に対する不服申立て手続の代理ができる」 資格を持つ者をいいます。
平成26年の行政書士法改正により,所定の研修を受け考査に合格した行政書士は,特定行政書士として登録できるようになりました。

具体的には,行政書士が通常扱う「許認可等」に関する処分に対して,不服申立ての代理を行うことができます。たとえば次のようなケースです。

  • 建設業許可の不許可処分に対する不服申立て
  • 飲食店営業許可の取消処分に対する弁明手続
  • 農地転用許可の却下に対する不服申立て

2.特定行政書士に「できない代理」

一方で,すべての行政処分に対応できるわけではありません。特定行政書士が代理できるのは,あくまで「行政書士が本来扱える業務」に関連する不服申立てに限られます。
そのため,次のような分野については,特定行政書士が代理することはできません。

(1)生活保護の却下に対する不服申立て
生活保護法に基づく処分は社会保障分野であり,弁護士の専門領域になります。

(2)年金の裁定や支給停止に関する不服申立て
年金は社会保険労務士や弁護士の業務領域であり,特定行政書士は扱えません。

(3)税務署の更正処分や加算税に対する不服申立て
税務は税理士の独占業務です。行政書士が代理することはできません。

(4)登記に関する処分(登記申請却下など)
登記業務は司法書士の専管業務であり,行政書士は関与できません。

(5)外国人の出入国管理や帰化に関する行政処分
入管関係の処分については,行政不服審査法第3条で「適用除外」と定められており,不服申立て自体ができません。

(6)刑事事件に関する処分(例:道路交通法違反に伴う行政処分取消請求)
刑事事件やそれに関連する処分は弁護士の領域となります。

特定行政書士制度の創設により,そして2025年の改正により,行政手続において行政書士が担える役割は着実に広がってきました。
それでも,案件によっては弁護士・司法書士・税理士・社会保険労務士といった他の専門家にバトンタッチする必要があります。

ワタシは特定行政書士として,「できること」と「できないこと」を正しく見極め,他の士業の方とも連携しながら,みなさまのお役に立てるよう努めてまいりたいと思います。

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