「にこらす」──ワタシの大切な隠れ家
お盆休みということで,妻と二人,久しぶりにお気に入りの店で料理とお酒を楽しみました。
その店の名は「にこらす」。仙台市中心部から少し離れた地下鉄「大町西公園駅」の近くにあります。周囲には飲食店がほとんどなく,静かに佇む一軒の居酒屋。まるで街の喧騒から一歩抜け出したような場所にある,ワタシの大切な「隠れ家」です。
初めてこのお店を見つけたのは10年以上前のこと。仕事帰りにバイクで走っていたとき,店先に並ぶ秋田の地酒の瓶が目に留まりました。仙台ではなかなか手に入らない銘柄ばかり。思わず足を止め,下ごしらえ中のマスターに「どうしてこのお酒がここにあるの?」と尋ねたのが,この店との縁の始まりです。
かつては知る人ぞ知る隠れ家でしたが,今では口コミで評判が広まり,予約必須の人気店に。それでも一歩店内に入れば,変わらずほっと寛げる「ワタシの隠れ家」であることに変わりはありません。繁盛するのはもちろん嬉しいけれど,「これ以上混んだら困るなあ」という複雑な気持ちも正直あります。立地的に決して有利とは言えないこの場所でこれほど繁盛し愛される店になったのは,やはりマスターの実力あってのことだと思います。
マスターは40歳前後の若き料理人。秋田の食材と地酒を軸に,贅沢な材料ではなく,ひと工夫を凝らした独創的な料理で魅せてくれます。本当に,「何を食べても美味しい」のです。
この日も,お通し三点盛りに始まり,甘みを存分に引き出した「トウモロコシの天ぷら」,ネギ・とんぶり・ミョウガをあしらった「炙りイワシのお造り」,「じゅんさいと湯葉の酢の物」など,季節感あふれる料理を存分に楽しみました。お酒ももちろん美味しいここ以外ではなかなか飲めない秋田の地酒を堪能しました。
お店の雰囲気もまた格別です。いつも満席ながら,ただ賑やかなだけではなく,心地よい活気と温かさがあります。酔って絡むような客など見たことがありません。皆が,思い思いにそれぞれが料理とお酒を,この空間を楽しんでいます。ホールでは地元大学の学生さんたちが笑顔で接客していて,その自然な優しさが空気をさらに和やかにしています。
その空気を作り出しているのは,間違いなくマスターの人柄です。厨房は注文の嵐で忙しく,まるで戦場のよう。それでもマスターは決して慌てた様子を見せず,いつもにこやか。お客一人ひとりに目を配り,料理の提供も状況に応じて順番を工夫する。そんな細やかな気遣いが,お客の心を和ませ,お店全体の温かさにつながっているのだと思います。
この日も,美味しい料理とお酒,そしてあたたかな空気に包まれて,心から楽しいひとときを過ごすことができました。妻もわたしも大満足で店を後にしました。ワタシにとって「にこらす」は,ただの行きつけではなく,心からくつろげる場所。これからもこの店と共に,ゆったりとしたひとときを重ねていきたいと思っています。







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