煙に奪われたワタシのささやかな幸福
ワタシは普段,家で仕事をしているので,昼食は家で取ることがほとんどです。
ですから,たまに外で昼食を取るのは,ちょっとした楽しみです。ですが,先日,そんなささやかな楽しみは,理不尽な白い煙に無残にも踏みにじられました。
その日は午前中に街中で用事を済ませ,少し早めの昼食を取ることにしました。ぶらぶら歩いていると,古びた外観ながらも「大人の隠れ家」的な雰囲気を漂わせるイイ感じの店を発見。入口にはランチメニュー,値段もお手頃。迷わず入店し,「生姜焼き定食」を注文しました。
出てきた料理は見た目からしておいしそうで,しかも850円。このご時世にこの価格,しかも味も抜群。心の中で「今日はアタリだ!」と喜んだのも束の間。その幸福感は唐突に打ち砕かれました。
食事を楽しんでいる最中,横から「プーン」と鼻をつく不快な匂い。隣の席では客がたばこを吸っており,テーブルには堂々と灰皿が置かれています。おまけに,続々と入ってくる客がみな一様にたばこに火をつけ,店内はあっという間に白い煙で満ちていきました。そこはまるで,“煙地獄”でした。
健康増進法の改正により,2020年4月から原則として国内の飲食店は全面禁煙となっています。小規模店で喫煙を認める場合でも,入口での明確な表示や20歳未満入店禁止,換気設備の設置などが義務付けられています。しかし,この店にはそうした掲示も設備も一切なく,完全に法律無視の状態でした。
法律を守らない店が,喫煙者だけの楽園となり,その煙に巻き込まれるのはワタシのような非喫煙者です。しかも,非喫煙者は何も悪いことをしていないのに,一方的に健康被害のリスクを背負わされる——これ以上の理不尽があるでしょうか。
結局,ワタシは半分以上料理を残したままで店を出ました。せっかくの「アタリ」の味も,煙にかき消されてしまいました。一言苦情を言おうかとも思いましたが,店内は喫煙者だらけの“アウェー”状態。何を言っても,気分を害するだけだと判断し店を後にしました。
本当に,残念すぎるランチタイムでした。
ワタシはたばこが大嫌いですが,「全面禁止にしろ」とまでは思いません。ただし,望まない煙を吸わされるのはいつも非喫煙者です。喫煙者はモラルを守り,飲食店は法律とルールをきちんと順守し,誰もが安心して食事を楽しめる環境を整えてほしい——そう強く願わずにはいられません。

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