契約書作成という,思いがけない「強み」
行政書士として行える業務の一つに,「契約書の作成・監修」があります。
これは行政書士法第1条の2により,「権利義務に関する書類」の作成が行政書士の業務と明記されており,他士業が無資格でこれを業務として行うことはできない,いわば行政書士の“独占業務”とされています。
ワタシが行政書士として登録した当初は,遺言や相続,成年後見といった,いわゆる「終活」に関連する業務を中心に取り組んでいこうと考えていました。
ところが,仕事を進めるうちに,ふとサラリーマン時代の自分の経験が頭をよぎりました。ワタシは長年,電力会社に勤務しており,発電所で使用する化石燃料(石油,石炭,LNGなど)や原子燃料(ウラン燃料)を調達する部門に属していました。その際には,和文・英文を問わず,数多くの契約書の作成や契約交渉,締結業務に携わってきたのです。
この経験は,まさに今の行政書士業務に直結するものであり,「これこそ自分の強みではないか」と考え,現在は当初考えていた業務に加え,契約書の作成・監修にも力を入れるようになりました。ありがたいことに,現在は複数のお客さまから契約書作成のご依頼をいただいていますし,このホームページをご覧になってお仕事をくださったお客さまがリピーターになってくださることもあります。
その信頼に応えるためにも,お一人お一人のご依頼に誠実に向き合い,丁寧な仕事を心がけています。
実際にご依頼の多い契約書は,「売買契約書」や「業務委託契約書」など,物やサービスの取引に関するものが中心です。これらの契約書では,売り手と買い手という当事者間で,目的物とその価格を明確にし,さらに具体的な取引条件――たとえば,商品の引渡場所や日時,代金の支払時期・方法など――を明文化していきます。
こうした契約の根拠となるのが,民法の規定です。民法第521条第1項には,「何人も,法令に特別の定めがある場合を除き,契約をするかどうかを自由に決定することができる」と定められています。つまり,契約は当事者同士の自由な意思によって成立するものであり,公序良俗に反しない限り,内容についても自由に決定できるのが原則です。
そのため,相手方に一方的に有利な内容で契約することも理論上は可能です。しかし,こうした“アンフェア”で片務的な契約内容は,後に争いの原因となる可能性が高く,「契約の無効」を主張されるなど,トラブルに発展することも考えられます。
ですから,弊事務所では,契約書を作成する際には,当事者のご意向を十分に確認しつつ,できる限り公平でバランスの取れた内容にするよう努めています。
特に注意が必要なのは,親族間や親しい企業同士の契約です。人間関係が良好であるがゆえに,契約内容が曖昧になりがちです。しかし,こうした関係こそ,一度こじれると修復が難しく,感情的な対立にも発展しやすいものです。だからこそ,「親しい間柄だからこそ,きちんとけじめをつける」という気持ちで,フェアで明確な契約書作りを心がけています。
行政書士になったばかりのころには,「契約書の作成」が自分の業務になるとは思っていませんでした。ですが,独立後にある先輩行政書士から「今まで自分がやってきた仕事の中で,行政書士として活かせるものがないか考えてごらん」とアドバイスをいただき,自分の経験と資格を結びつけてみたとき,契約書の作成・監修という仕事がまさに“天職”のように感じられました。
「そうだ!オレは、サラリーマン時代,山のように契約書を作っていたんだ!」ということに気がついたのです。
これまで全く面識のなかった方から,ホームページを通じてお仕事をいただき,そして信頼を寄せてくださるリピーターになっていただけたことは,何よりの励みです。これからも,この「自分の強み」をさらに磨き,民法や関連法令の知識をブラッシュアップしながら,多くの方々のお役に立てる行政書士でありたいと考えています。
なお,当事務所では,契約書は日本語のみ取り扱っております。英文契約書については,文言のニュアンスや法的な意味合いの正確な確認が困難な場合があるため対応しておりません。ご了承ください。

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