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東北の人間は足下を見られるのか?

学校も夏休みに入り,いよいよ夏の観光シーズンがやってきました。最近の暑さにすっかり参っているワタシなどは「家が一番」だと思い,極力外出を避けて過ごしています。それでも,お子さんのいるご家庭では,子どもから「どこか旅行に連れて行って」とせがまれることもしばしばでしょう。実際,暑さにも負けず,家族や友人と旅行に出かける方も多いのではないでしょうか。

かくいうワタシも,「乗り物大好き」「旅が大好き」な人間です。昔は,どれだけ暑くても夏は必ずどこかへ出かけていたものです。今回お話しするのは,そんな旅の思い出のひとつ,今となっては少し懐かしいエピソードです。

ある年の夏,応援しているサッカーチーム,ベガルタ仙台がヴィッセル神戸と対戦する試合があり,そのアウェイ戦の応援のため,1泊2日のツアーに参加して飛行機で神戸へ向かいました。その日の神戸は,予想を遥かに超える暑さ。少し歩いただけで汗が噴き出し,外にいるだけでつらいほどでした。「とにかく早くホテルに着いて,涼しい部屋で休みたい」と思いながら,やっとの思いでホテルに到着しました。

チェックインタイムは13時。「やれやれ,これでしばらく休める」と思い,予約時の書類と氏名を手早くフロントに提示しました。ところが,フロントの係の方から想像もしない言葉が返ってきました。「大変申し訳ございません。お客様のお部屋の準備がまだ整っておりませんので,15時まで喫茶室でお待ちいただけますでしょうか」とのこと。ワタシは13時チェックインと聞いていたので,決して「早く部屋に入らせてほしい」などと無理を言った訳ではありません。単に,予約時の約束通り13時にチェックインしたいというだけの,ごく当然のお願いのはずでした。このことを丁寧に伝えても,フロントの方は「申し訳ありませんが……」と繰り返すばかり。

その脇では,次々と他のお客がチェックインを済ませて部屋に案内されています。「なぜ自分だけが待たされるのか」という疑問と,暑さでの疲労も積み重なり,ワタシの気持ちはだんだんと苛立ちを覚えていきました。しかし,決して感情的に怒鳴ったり,強い言葉で責め立てたりしたわけではなく,あくまで冷静に,自分の立場と要求の正当性を説明しました。「13時チェックインが元々の契約で,それが履行できないならその理由を示してほしい」「契約を履行できないとなれば,債務不履行で損害賠償をしていただくことになるがどのように賠償していただけるのか知りたい」と繰り返し話をしました。

最終的に,フロントの担当者では対応が難しくなったようで,「副支配人」と名乗る方が現れ対応にあたってくれました(この方は,表情はにこやかですが,目が少しも笑っていなかったのが印象的でした)。幸い,この方は状況をしっかりと理解し,結局,すぐに部屋を用意してくれ,冷房の効いた快適な部屋で,キックオフまでゆっくり寛ぐことができました。

後日,このときの出来事を友人知人に話したところ,興味深い反応の違いがありました。東北以外の友人は「それは大変だったね」「当然主張すべきことだよ」と共感してくれた一方東北出身の知人からは「そのくらい,オレなら待つよ」とか「根気強く交渉できるなんてスゴいね,オレには無理かも」といった声が多く返ってきました。

ワタシは,ひょっとするとホテル側も,ワタシが東北出身だから譲歩してくれるだろうと,足下を見て対応したのではないか——そんなことまで想像してしまいました。もしかすると,控えめな東北人気質が,サービスを受ける際にもどこか影響してしまうのかもしれません。その是非はともかく,暑い夏の思い出として深く心に残るできごとでした。

これまでのサラリーマン時代も,今,行政書士として日々さまざまな方とお会いしていても,相手の立場や第一印象によって対応を変える人が少なからずいることを感じます。力の強い相手と,控えめな相手とで,まったく態度が異なる人もいます。それだけに,ワタシは自分自身,どのような立場の方にも,真摯に耳を傾け,わかりやすく,誠実に向き合う専門家でありたい——特に,控えめで寡黙な東北の,仙台の皆様に頼っていただける行政書士でありたい,と心から思っています。

社会には,時に理不尽な対応が横行しがちですが,「声の小さい人」の側に立ち,ときにはその想いをきちんと代弁できる存在であり続けたい。これからも地元で,皆様のお力になれるよう,精一杯取り組んでまいります。

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