小さな命との出会いから──地域猫活動を知っていますか?
暑い日が続いていますが,みなさま,いかがお過ごしでしょうか。
こうした夏の盛りになると,ワタシは決まって,数年前のある夜の出来事を思い出します。
あのときも,今日のように蒸し暑い日でした。しかも,夜は雨。寝苦しさもあるなかで,外から「ヒューゥ,ヒューゥ」と奇妙な鳴き声が聞こえてきました。あまりに不気味で寝付けず,意を決して懐中電灯と棒を持って庭へ出たのです。
光を当てると,そこには濡れそぼった一匹の子猫が,うずくまっていました。生まれたばかりの小さなキジトラ。見過ごすことなんてできません。ワタシは,その子を保護し,濡れた体を拭いてタオルを敷き,小さな箱に寝かせました。
翌朝,心配しながら箱をのぞくと,子猫はかすかに動いていました。綿棒に水や牛乳を含ませて与えると,ほんの少しですが口にしてくれます。急いで愛犬のかかりつけの動物病院に連れていくと,先生が丁寧に診察してくれました。「大丈夫,栄養状態も悪くありません。猫ちゃん,飼ってみますか?」と勧めてくださいましたが,私は猫アレルギーがあり,すでに目は真っ赤,指先がかゆくなっていました。先生は「それなら良い人を探しましょう」と引き受けてくださり,安心して子猫を託しました。
その後は「あの猫,どうしているかなぁー」と思うことはありましたが,それ以上のことはありませんでした。それから数年後,同じ病院で先生に「あの時の猫,今,待合室にいますよ」と教えていただき,再会。新しい飼い主さんに愛され,立派に成長した幸せそうな姿に胸が熱くなりました。猫も,人も,少しの手助けや優しさで大きく運命が変わる。そう感じた瞬間です。
私のように,偶然一匹の猫を救った経験を持つ方もいるかもしれません。でも今,もっと多くの命を救おうと,日々奮闘されている方々がいます。それが「地域猫活動」です。
地域猫活動とは,野良猫たちを単に排除するのではなく,地域に住むみんなが協力して,適切に世話をし,去勢・避妊手術(TNR活動)や健康管理を徹底することで,猫と人が安心して共生できる町づくりを目指す取り組みです。猫たちにも命があります。むやみに増やしたり,苦しませるのではなく,みんなが少しずつ手を貸し合うことで,人も猫も心地よい環境を作る。そして結果的には迷惑なトラブルも減り,地域全体が穏やかになる,そんな大切な活動です。
このたび8月4日(日),仙台市動物管理センターの主催で「地域猫学講座~人と猫が共生する住み良い街を目指して~」というセミナーが開催されます。講師は,地域猫対策で活躍をされている「しんけん動物病院」の松本信賢先生。地域猫活動の現場で多くの経験を積まれ,行政や市民団体と連携しながら数多くの猫を救ってこられた,まさにこの分野の第一人者です。
猫が好きな方も,少し距離を置いていた方も,きっと「自分にできること」が見つかる講座だと思います。小さな命と向き合い,やさしさと責任について考えるきっかけになれば幸いです。

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