クイズを通じて知った,「真に身についた知識」とは?
以前,このブログでも紹介させていただきましたが,先月と今月,東京でクイズを楽しんできました。クイズは,子供の頃から熱中してきた楽しい遊びなのですが,単に「知ってる!」という知識量を競うだけでなく,反射神経や戦略性も問われる刺激的な遊びで,スポーツのような側面もあります。単純に「物知り」だけでは勝ち抜けません。特に早押し問題では,ボタンを押して回答権を得る俊敏さと,瞬時に答えを導き出す能力が重要です。「あ,それ知ってる!」と思っても,瞬時にボタンを押せないと,他の回答者に回答権を取られてしまいます。
東京でのイベントでは,旧知の「腕に覚えのある」強者達と腕を競いました。ボタンに手を置き,「来た!」と感じた瞬間に押すものの,わずかの差で押し負ける……そんな悔しい場面が何度もありました。そして,「あの瞬間,なぜ反応が遅れたのか?」「なぜ,すぐに答えが出てこなかったのか?」と自問することで,気づいたことがありました。
ワタシが回答権を取れた問題には,ある共通点がありました。それは,ワタシ自身が人生を通じて,クイズという遊びとは別に深く関わってきた分野だったということです。たとえば,高校まで続けていた陸上競技に関する問題,サポーターとして応援しているベガルタ仙台をはじめとするサッカー関連の問題,数年前に資格取得のため必死に勉強し,現在の仕事にも密接に関わっている憲法や民法などの法律に関する問題,そして,かつて長年携わってきた電気・石油・石炭などのエネルギー分野の問題などです。
こうした分野は,日々の暮らしの中で,仕事や遊びを通じて,ワタシの身体や感覚の奥深くに染みついていて,知識というよりは「経験」として残っているものです。答えを考えることなく,条件反射のように答えが出てくる。それはまるで,日常の中で体が自然に動くような感覚です。こうした知識は,単なる暗記を超えた,体に染みついた「真に身についた知識」なのだと思います。
そして,このことは,ワタシの本業である行政書士としての仕事にも通じています。業務の中で何度も繰り返す手続きや対応,法令文書の読み取り,お客さまとのやりとりの中で得た実践的な知識は,やがて「自分の言葉」として定着していきます。それは,参考書に書かれているような正確で形式的な知識ではなく,経験を通じて身につけた「使える知識」であり,自身の「仕事上の道具」となったものです。
クイズという,一見して業務とは何の関係もない遊びの中で,ワタシは改めてひとつのことを再認識したように思います。それは,自分が本当に理解している事柄というのは,とっさに対応できるレベルにまで昇華されているということ。逆に,頭の中で「これはどこかで聞いたことがある」という程度の知識は,すぐには引き出せず,クイズでも仕事でも役に立たないということです。
日々仕事をする中で,接する多くの知識をどのようにして「使える知識」にまで高めるのか。そのためには,日々の経験の積み重ねと実践が欠かせないのだと思います。お客さまのニーズにお応えするために,ただ「知っている」というレベルではなく,自分の言葉で,専門家ではない一般の方々に理解していただけるような言葉に置き換え,提案できるようレベルまで高めておかなければならないのだと思います。
日々,多くの情報に接する中で,「使える知識」とは何なのか?今回,それに気づかせてくれた東京でのクイズイベントは,ワタシにとって,ただ楽しかっただけではない,価値ある学びの場となりました。今後も,経験を重ねることで真の知識を育み,自分に取り込んで,仕事にも人生にも生かしていきたいと考えています。

コメントを残す