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ワタシの退職の日――新たな一歩への感謝と決意

皆さんは,ご自身が長年勤めてきた会社を退職する日のことを想像したことがありますか。テレビドラマでよく目にする,職場で女性社員から花束を受け取り,挨拶をして会社を後にする,あのシーンです。ワタシも「いつか必ずその日が来る」と頭では分かっていましたが,現実として想像することはできませんでした。

しかし,その日はワタシにも,ちゃんとやってきました。1年前の6月30日,ワタシは35年間勤めた東北電力株式会社を,60歳の定年より,ほんの少し早めに退職しました。先日,株主総会で久しぶりに会社を訪れる機会があり,その時のことを鮮明に思い出したので,今日はその思い出を綴りたいと思います。

ワタシは58歳で行政書士試験に合格し,1年間の休職を経て退職したため,一般的な退職のパターンとは少し異なります。退職が近づくと,会社からは大量の退職関連書類が届き,退職前の数日はその対応に追われました。退職の日を迎えて初めて知ることも多く,「もう少し準備をしておけばよかった」と少し後悔することもありました。

退職の数日前,まずは長年お世話になった本店へ挨拶に行きました。会社生活の大半を過ごした燃料部をはじめ,半日かけてお世話になった方々に退職のご挨拶をしました。35年も会社にいると,時には誤解や対立で人間関係がぎくしゃくした方もいましたが,ワタシはそうした方々にも一人ひとり,感謝の気持ちを述べ,お別れをしました。在職中の出来事は,挨拶をしてお別れすることで水に流し,これからは新しい環境でゼロから楽しく仕事をしたいという思いがありました。最初は意外そうな顔をされる方もいましたが,最後は皆さん笑顔で見送ってくれたことが印象に残っています。

休職後,ワタシは仙台に戻っていましたが,秋田の発電所に所属していたため,退職の日は秋田に赴き,職場で退職の辞令を受けました。まさにテレビドラマのような退職のシーンで,「とうとう自分にもこの日が来たのだ」と思いました。職場の皆さんからは花束の代わりに,ガラスドームに入ったプリザーブドフラワーをいただきました。「ここで花束をもらっても困るでしょうから,これにしました。事務所に飾って,時々職場のことを思い出してください」と温かい言葉をかけていただき,その心遣いがとても嬉しかったことを今でも覚えています。

退職後は無我夢中で新しい道を走り続け,今に至ります。自分で仕事をするようになると,環境の自由さや快適さを感じる一方で,会社が見えないところで社員を守り,支えてくれていたことにも気づかされました。大学を卒業して右も左も分からない中で社会人となり,ビジネスマナーや必要なスキルを身につけさせてくれたのも会社でした。それらは今の自分の仕事にも大いに役立っていると実感しています。

退職の日を思い出しながら今考えるのは,「会社を辞めて独立した」という自由の裏側には,これまでの会社員生活で築いた土台があったのだということです。これからも,その恩返しとして社会やお客さまに貢献できるよう,努力を重ねていきたいと改めて感じています。

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