Fラン大学は必要か?(前編)
「Fラン大学」という言葉は,ワタシが大学を受験する頃にはまだありませんでした。最近になって良く耳にしますが,要は,入試難易度にボーダーラインがない「Border Free」のFを取って「Fラン大学」と呼ばれているようです。
昨今,Fラン大学が何かと話題に上ります。最近,Fラン大学が問題視されている背景には,財務省が,文科省を通じて補助金が定員割れの大学にも支給されている現状を問題視し,「義務教育レベルの教育をやっている大学への助成を止めるべきだ」と主張していることにあります。これに対して文科省は「一面的な見方だ」と反発しています。
ワタシが生まれた1964年の大学進学率は約17%でした。その当時は,大学を卒業した人は「学士様」と呼ばれ,社会的にもエリートだったのだと思います。その後,大学進学率は上昇を続け,ワタシが大学に入学した1985年には約37%,昨年2024年度には約57%にまで達しています(※文科省「学校基本調査」など複数資料を参照)。今や半数以上の高卒者が大学に進学する状況で,正直なところ,大学は「高等教育機関」と呼べるのかどうか,疑問に感じることもあります。
少子化の中で大学生が減少し続けている現状を考えると,「高等教育機関」なのだから,定員割れをしていて,小中学校レベルの授業を行っている大学を廃止すべきだ,という意見も理解できます。しかし,文科省が主張するように,「高校まで勉強してこなかった人にも学びの機会を提供することは無駄ではない」という考え方も一方で正しいと思います。
現在,日本の大学に支給されている補助金の総額は約3000億円です。文科省としては「選択と集中」を徹底し,東大や京大,東北大のような研究業績に優れた「優秀な大学」に手厚く補助金を配分し,日本の大学のレベルアップを図りたいのでしょう。その考えには,ワタシも賛成です。しかし,だからといって現時点で教育内容を理由に「Fラン大学を切り捨てるべき」とは思いません。(後編へ続く)

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