飲酒運転を防止するための唯一無二の方法とは?
一昨日,そして昨日と,ワタシが飲酒運転という行為をどれほど憎んでいるか,また,それを防ぐために有効な科学的取り組みについて書かせていただきました。
今回はその締めくくりとして,「飲酒運転を防止するために,何が一番大切なのか」について,ワタシの考えを述べたいと思います。
ワタシはかつて,サラリーマンとしてお世話になった会社の福島支店で企画課の係長を務めていました。その頃の重要な仕事のひとつが,支店長の挨拶や訓示のための「素材づくり」でした。これは,社内の大きな会議や仕事始めなどで,支店長が社員に向けて話す内容を準備するという役目であり,経済情勢や業界・会社の取り組むべき課題などを調べてまとめ,支店長に説明するという仕事です。
支店長はワタシが作った素材をそのまま使ってくれることもありましたし,まったく違う話をされることもありました。使っていただけたときは嬉しかったですし,そうでないときは反省し,「次こそは!」と気持ちを新たにしていました。
その支店長から,挨拶や訓示を作成する際,「必ずこの言葉を入れてくれ!」と強くいわれていた言葉があります。それは,
「飲酒運転は絶対にいけないことだと,一人ひとりが自分のDNAの一本一本すべてに刻みつけろ!」
という強烈な言葉でした。
ワタシがお世話になった会社は,1万人を超える従業員を抱える大企業でした。いろいろな方がいる中で,残念ながらごくわずかですが,飲酒運転によって検挙されるという不幸な事例も発生していました。だからこそ,「飲酒運転の根絶」は,会社としても極めて重大な課題だったのです。
そして今,ワタシはこの支店長の言葉こそが,飲酒運転を根絶するための「唯一無二の方法」だと確信しています。
人間は時に自分の意思をコントロールできなくなることがあります。お酒を飲み過ぎて,気がついたら家の布団で寝ていた,という経験はお酒をたしなむ方なら一度はあるのではないでしょうか。そんな無意識の状態でも,きちんと家に帰ることができるのは,心の奥底に「帰るべき場所」が刻み込まれているからだと思うのです。
だからこそ,「飲酒運転はいけない」という意識も,そのレベルまで自分の中に染み込ませなければいけない——そう思います。無意識でも絶対にハンドルを握らないようにする。そのためには,自分の意識の表面だけでなく,DNAの一本一本に刻み込むように,この意識を持つことが必要だと考えています。
「飲酒運転は絶対にいけないことだと,自分のDNAの一本一本すべてに刻みつけろ!」
この言葉は,ただのスローガンではありません。自分の命を,家族の命を,そして他人の命を守るための,極めて現実的で根本的な行動の指針です。
もちろん,アルコールチェッカーの活用やWidmark法による血中アルコール濃度の計算も,非常に有効な手段です。ワタシもそれらを日常的に取り入れています。しかし,それでも最後に行動を決めるのは「心の中にある意識」だと思うのです。
「飲酒運転はいけない」という気持ちを,知識や理屈を超えて,自分の中の本能レベルにまで落とし込むこと。それこそが,飲酒運転を防止する一番の方法だと,ワタシは信じています。
これからもワタシは,飲酒運転を憎み続け,自分の体の隅々にその意識を染み込ませていきたいと思います。そして願わくば,この気持ちが一人でも多くの方に伝わり,飲酒運転がこの社会から根絶される日が来ることを,心から願っています。

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