海事代理士試験に向けて ― 条文の読み込みと参考書選び
海事代理士試験を受験するにあたり,「条文を逐一読み込む必要はあるのか?」という疑問を持つ方は多いと思います。ワタシも伊藤塾で,各法令の頻出箇所をピックアップし,逐条解説をしてくれる授業を受けました。これは,各法令の概要を把握するのに,とても役に立ちましたが,その際,条文を逐一アタマに入れたわけではないですし,それは難しいと思います。
ワタシの場合,逐条解説の授業を受けた後は,練習問題や過去問を繰り返し解くことを重視しました。そのため,条文そのものを何度も見返すことはあまりありませんでしたが,特に支障は感じませんでした。また、法令の中には「船舶法」や「船舶安全法」のように,漢字とカタカナが混ざり文語体で記述されているために読みづらいものもあります。これらを無理に読み込むのは時間がかかるため,効率的とは言えません。
海事代理士試験については,受験勉強に使える参考書は限られています。まずは筆記試験に合格することが第一関門ですが,そのためには,2種類の参考書のうちいずれかを使うしかありません(独学の場合,それ以外には選択肢がありません)。
ひとつは,日本海事代理士会編「海事代理士合格マニュアル(8訂版)」(成山堂出版)です。これは通常の書店で入手できる唯一の受験対策本であり,本試験会場でも多くの受験者が持参している定評のある参考書です。これを使って法令の概要をつかみ,数回繰り返し学習することで基礎力を養うのがオーソドックスな方法です。
もう一つは,日本海事代理士研究センターが出版している「海事代理士合格六法」と「海事代理士厳選過去問題集」のセットです。「海事代理士厳選過去問題集」には,過去問の前に各条文の用語を確認する問題も掲載されており,条文に関する基礎力を養うのに役立ちます。ワタシはこちらの方法で学習しましたし,オススメなのですが,現在は販売元での取り扱いがなく,令和7年試験向け対策の記述もありません。興味のある方は出版元に問い合わせてみてください(https://e-shop.kaijidairishi.jp/)。
基礎力を養成した後は,過去問を繰り返し解くことをおすすめします。海事代理士試験では,過去問が繰り返し出題される傾向が強いですが,出題傾向が少しずつ変化しているため,過去5年分程度を繰り返せば十分だと思います(この点はあくまでワタシの意見ですので,ご参考までに)。
海事代理士試験の勉強では,条文を無理に読み込む必要はありませんが,出題頻度の高い法令や条文については重点的に確認することが効率的です。参考書は限られていますが,自分に合ったものを選び,基礎力を養成した上で過去問演習を重ねることが合格への近道です。

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