海事代理士試験に向けて(筆記試験対策全般,憲法,民法)
海事代理士の筆記試験は20科目,総得点240点で合否が判定されます。合格基準は総得点の60%以上(144点以上)を取得した者ですが,全科目受験者の平均正答率が60%を超えた場合は,その平均正答率以上得点した者が合格となります。平均正答率は年度によって多少変動しますが,おおむね60%前後ですので,各科目で6割の得点を目標に学習するのが基本です。ただし,近年は資格予備校の伊藤塾が対策講座を開講するなど,海事代理士試験への注目度が高まっており,受験生のレベルも上昇傾向にあります。余裕をもって合格を目指すなら,65%から70%の得点を視野に入れておく必要があります。
海事代理士試験は科目によって「点の取りやすさ」に大きな差があります。得点しやすい科目に重点を置くことで効率的な学習が可能です。これらの特徴を踏まえ,今回は、憲法と民法について解説します。
1.憲法
憲法の出題は10問で,5問が穴埋め式(単純な用語を入れる問題です),5問が○×形式です。条文だけでなく,基本的な考え方や判例も出題されます。出題範囲は広く多くの条文が対象ですが,特に頻出なのは14条(法の下の平等),15条(公務員の選定),22条(職業選択の自由),54条(衆議院解散後の手続き),59条(法律案の国会手続き),60条(予算の国会手続き),68条(国務大臣)などです。国会の手続きや定数に関する数字の出題も多いです。私は行政書士試験の際に日本国憲法103条を丸暗記していたため,海事代理士試験では特別な対策はせず過去問6年分を解いた程度でしたが,令和4年・5年ともに満点の10点が取れました。一般的な対策としては,頻出の条文に目を通し,特に手続きに関わる数字(法案の衆議院の再可決には出席議員の3分の2の賛成が必要とか,衆議院が解散したときは40日以内に総選挙とか憲法改正の発議に必要な要件とかそういうもの)をきちんと把握し,答えられるようにすること,主要な判例については一通り読み「こういうものがある」程度の知識を持っておくこと,過去問を数回繰り返す程度で良いと思います。ワタシは憲法が得意で,たまたま高得点が取れましたが,合格を目指すという観点では6~7点程度を目指し,後は得点しやすい法令科目を重点的に学習する方が効率的だと思います。
2.民法
民法の出題形式は憲法と同様で,穴埋め問題5問と○×問題5問です。出題範囲は非常に広く,毎年多様な条文から出題されるため対策は困難です。私は令和4年度は行政書士試験の学習経験が活きて9点を獲得しましたが,翌年は記憶が薄れて5点にとどまり,この得点は,法令20科目中最低の得点でした。民法は範囲が広く出題傾向に特徴がないため,過去問を数回解く程度にとどめ,他の科目にリソースを割く方が効率的です。私自身もそのように対応しました。
このように,合格基準や科目ごとの特徴を理解し,重点的に学習すべき科目に注力しながら,過去問を中心に繰り返し学習を進めることが海事代理士試験の筆記試験合格への近道です。
海事代理士試験について質問がある方は、下のコメントかメールにてお知らせください。なお、質問につきましては、試験対策についてはお答えできますが、法令そのものの解釈や学術的見解については責任を持った回答ができませんので差し控えさせていただきます。その旨、お含みおきください。

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